Camouflage Measures
- ※メジャー31、32、33はHyperWarのサイトから。これらの図面はプロトタイプで、これらの内容は必ずしも完全ではないか、または正確ではない。1898年の米西戦争の時に、当時純白に塗装していたアメリカ艦隊の一艦がたまたま灰色に塗装したところ、迷彩に効果があることが分かったのが発端
- ※1917年秋ごろに5人の技術者によって考案。目視を困難にさせる方法と、眩惑させる方法、この二つの方法を合成した方法の三つがあった。いずれも遠方から見ると灰色に見えるよう工夫されている。天候によりその効果をさらに高めた。その迷彩法は考案者の名を採って次のように呼ばれた
- マッケー式→赤、緑、紫の三色を用いて灰色に見せる。水平線上の船影を目視困難にさせ、また色の斑点模様により船の輪郭を不明確にして距離の測定を誤らせる
- ワーナー式→赤、青、緑、白の不規則な模様に塗り分けたり、暗色斑点と明色斑点とを交錯させて、船の形状を誤認させる
- トック式→明暗二種の青灰色、暗緑色、明るい淡紅色を使い、水線近くは暗色を、船体上部は明るい色に塗って、遠距離の船の色を空と海の色に紛らわせようとし、また色の対照で眩惑させる
- ブラッシュ式→白と黒の様に明暗二色を用いて目視困難にさせる
- ヘルツォー式→短波長の色、すなわちスペクトルの下部の色を使い、同心円の線を描いて船体の目視を困惑にさせる。また飛行機に対しても波の形によく似た菱形、ダイヤ形に甲板などを塗って海と紛らわせる
- ※1935年からアメリカ海軍は迷彩研究を再開。1940年〜1941年に艦船局が最初の迷彩案を考案し、第二次大戦中、21種の迷彩基本法式を制式化する。以下に紹介する
- ※1941年に艦船局が制定した最も初期の迷彩方式の一つで、濃灰色システム。1941年12月に真珠湾で日本海軍の攻撃を受けた艦艇の多くにこれが施されていた。濃灰色を基調としているが、観測所、司令塔、トップ・マスト、高い煙突のトップ等高い上構の上部は白く塗られており、これが水平線上で白が空に、灰色が海に調和して、晴天時に遠距離砲撃戦の際に効果があった。1941年12月の戦艦ウェスト・ヴァージニア West Virginia(BB-48)や1942年5月の重巡洋艦ペンサコラ Pensacola(CA-24)がその例
- ※階調式(Graded System)と呼ばれるもので、船体を濃灰色に、乾舷上部から上構にかけて色調を淡色にしていく方式。1941年に採用され、参戦前大西洋で船団護衛に従事した駆逐艦などにも用いられた。乾舷下部を濃灰色、上部をOcean Gray、上構を淡灰色に塗るのが基本であるが、1942年初めから船体のOcean Grayは濃灰色に、上構はHaze Grayに改められた。1941年12月の戦艦ネヴァダ Navada(BB-36)やのちの戦車揚陸艦(LST)にこれが多く用いられた
- ※淡灰色を基調とする方式であり、平時からよく使われた塗装なので、Peacetime Grayと呼ばれた。1941年末以降使用されたが、あまり普及せず。煙突頂部や煙突後部ののトップ・マストは黒く塗られたものが多く、上構上部を白く塗ったものもあった。例として軽巡洋艦ヘレナ Helena(CL-50)や1942年の補助航空母艦サンガモン(ACV-26)がある
※黒色システムで、この色は駆逐艦の伝統的な塗色であった。夜戦には適しているが、日中は非常に目立つのであまり使われず。1942年頃の駆逐艦マクドノー MacDonough(DD-351)はこの例とみられる
- ※艦首に波を描いて敵潜水艦の速力測定を誤認させようとするもので、第一次大戦当時イギリス海軍で用いたことがあった。停泊または低速航行中の船をより速く見せる狙いであったが、第二次大戦中はあまり使われなかった。1941年10月ごろの航空母艦レキシントン Lexington(CV-2)はメジャー1とこのメジャー5を併用した
- ※軽巡洋艦を重巡洋艦に見せかける迷彩。オマハ級軽巡洋艦の中央の煙突2本を白または灰色に、前後の煙突も上部を淡く塗って高さを低く見せ、残りを濃灰色に塗装してニュー・オーリンズ級かポートランド級重巡洋艦に類似させたのがその例。ブルックリン級軽巡洋艦も艦尾付近を淡灰色に塗り分けて同様な試みをしている
- ※これもオマハ級軽巡洋艦を4本煙突の駆逐艦に見せようとしたもので、後檣付近より後方の上構を淡灰色に塗装した。1941年12月の軽巡洋艦ローリー Raleigh(CL-7)がその例である
- ※上と同様にニュー・オーリンズ級重巡洋艦をベンソン級かリヴァモア級駆逐艦に類似させる迷彩。ミネアポリス Minneapolis(CA-36)やサン・フランシスコ San Francisco(CA-38)で試みられたことがあったが、味方の艦船を混乱させたので間もなく廃止
- ※潜水艦を黒く塗る方式で、特に潜航中上空から発見されにくく、1941年初め頃から実施された。塗装時に光沢があっても潜航を繰り返す内に消える利点があり、1942年からは煤のような艶消しの黒い塗装が用いられ、終戦まで使われた
↑Image courtesy of Shipbucket.
- ※同じく潜水艦用の灰色系統の塗装。浮上中、水上および低空から発見し難い色で、戦前、アメリカ潜水艦はOcean Grayか暗灰色に塗られており、1943年までガトー級の多くに用いられていた。外殻や上面を黒で塗装するなど応用例も多く、大戦後期にはOcean Grayの代わりにPale GrayやHaze Grayも使用。例として1943年のグラウラー Growler(SS-215)がある
- ※呼び方はメジャー“じゅういち(もしくはイレヴン)”ではなく、メジャーOne-One(ワンワン)。これ以降のメジャーはこう呼んでいく。海のような青色で、遠洋作戦で洋上での秘匿を考慮して採用された。1943年初めごろから主として太平洋、一部地中海でも使用され、のちにメジャー21へと発展。1943年9月の航空母艦ヨークウン Yorktown(CV-10)など、航空母艦にその例が見られた
- ※メジャー2と同じ階調式の塗装で、暗灰色(のちに海青色かNavy Blueに改められた)、Osean Gray、Haze Gray(または淡灰色)へと船体を塗り分け、さらに上構に斑点やまだら模様、縞などを付けて、秘匿効果を高めている。上面はDeck Blueを用いた。この塗り分けはかなり変化に富み、さまざまなタイプがある。1942年4月にドゥーリットル空襲時の航空母艦ホーネット Hornet(CV-8)はこの塗装
- ※大戦中に新しく生まれたHaze Gray(淡灰色より暗く、Ocean Grayより明るい灰色)を基調とするもので、曇天下もしくは霧の中で効果があった。戦後はアメリカ海軍の標準塗装となったが、大戦中は比較的少なく、小艦艇に用いられた。戦車揚陸艦LST-667が船体をHaze Gray、上構はNavy Blueにしたのはその応用例の一つ
- ※1943年ごろから登場したOcean Gray系の塗色で護衛航空母艦、駆逐艦、戦車揚陸艦など量産型に多く使用された晴天もしくは月光の下で効果があった
- ※画家A. H. サイヤー Abbott Handerson Thayerが考案したところからThayer Systemと呼ばれる、第一次大戦時代の迷彩方式の復活で、白地にサイヤー・ブルーと呼ばれる明るい空色で角状もしくは波状の模様を施す。太平洋、大西洋の北方水域で使用。1944年の重巡洋艦キャンベラ Canberra(CA-70)、砕氷船サウスウィンド Southwind(WAGB-280)など、その例は多い。イギリス海軍のウェスタン・アプローチ式に似ている
- ※メジャー12と似ているが、のちのメジャー22のように、乾舷はOcean Grayの代わりにHaze Grayを使用
- ※Navy Blue系の塗色を施す方式で、海青色系のメジャー11が周囲の海にまぎれやすいものの、陽光を受けると明るく見えて目立ちがちな所から、より暗いNavy Blueの登場となった。1943年の後半に太平洋のメジャー11系の艦艇の多くがメジャー21に塗り替えられた。実例は1946年の軽航空母艦サイパン Saipan(CVL-48)や1943年の重巡洋艦サン・フランシスコ(CA-38)など後期にかなり普及
- ※メジャー12を改良した階調式の塗装で、船体下方をNavy Blueに、上面はDeck Blueを用いた。戦前の1941年から実験的に使われ、のちにアメリカ海軍艦艇の代表的な塗色となった。Navy Blueを暗灰色やOcean Grayで代用した例もある。洋上遠距離にいて効果が大きかった。1943年の戦艦アラバマ Alabama(BB-60)、重巡洋艦オーガスタ Augusta(CA-31)などから揚陸艦艇まで、実例は多く見られる
- ※Pale Gray(淡灰色よりさらに明るく、白灰色とでも訳すべきか)系の塗装で、メジャー3(淡灰色)から分かれたもの。白より晴天下で目立たず、夜間、夕刻、曇天下では白に準じた効果があったといわれる。1943年〜1944年に小艦艇(内燃機掃海艇、補助内燃機掃海艇(YMS)、歩兵揚陸艇(LCI)、車両人員揚陸艇[車両兵員揚陸艇](LCVP)、魚雷艇(PT)など)の一部で使用された
- ※メジャー31は、暗色パターン方式の欺瞞型迷彩塗装である。太平洋方面で、沿岸もしくは揚陸用艦艇がジャングルを背景として行動するために考案された。黒、褐色、緑(これもNavy、Ocean、Hazeの三段階があった)、灰色などさまざまの塗装を何色か組み合わせて用いた。パターン形状も波型、角型、縞型、不規則型とヴァラエティに富み、駆逐艦、揚陸艦艇、魚雷艇などに多い(応用例は大型艦にも見られた)。LCI(L)-1級歩兵揚陸艇(大型)が明暗3色の緑、茶、黒の五色で全体を斑状に塗装したのはその一例
- ※メジャー32は、中間色パターン方式の迷彩塗装で、1943年後期から1944年初めにかけてかなり使用された。いわゆる第一次大戦型ダズル・ペイントの復活で、戦艦、航空母艦など大型艦艇の多くに施行。色は黒、Navy Blueのほかに明暗三階色の灰色と緑色があり、この内通常2〜3色が用いられた。同一級内でも色、パターンの組み合わせで相違があり、カムフラージュ・デザイン・ナンバーを付けて呼ばれた。1944年6月の航空母艦エセックス Essex(CV-9)は、淡灰色と黒(艶消し)でパターンを描いたメジャー32/6-10D
- ※メジャー33は、明色パターン方式の迷彩塗装で、北方水域の艦艇用に考案され1943年〜1944年に登場したが、メジャー32ほど多くはなかった。明色系の灰色3色、緑色2色が使われた。軽巡洋艦ナッシュヴィル Nashville(CL-43)がOcean Gray、Haze Gray、Pale Grayの三色で角状のパターン模様を施したのはその典型例である
- ※アメリカ海軍艦船のカモフラージュ・メジャー31、32および33は、色調の特徴的なパターンを表し、特定の英数字の指定子によって識別される100種類以上の異なるデザインからなる。これらの基本的なデザインの一部は、個々の艦船または各級にのみ適用されたものもあれば、いくつかの艦船および級(クラス)で使用されたものもあった。一部の級(クラス)には多くの異なるデザインが用意されていたが、他の級(クラス)にはほとんどなかった。これからリンクされているページに示されているカモフラージュの図から判断すると、少なくとも32の異なったデザイン・ナンバーが使用され、それらの大部分は、デザインが本来意図していた艦船のタイプを示す文字のサフィックスで区切られてる。“A”は航空母艦、“B”は戦艦、“C”は巡洋艦、“D”は駆逐艦、“F”は貨物船、“L”は揚陸艦艇、“M”は機雷戦艦艇、“P”は哨戒艇、“SS”は潜水艦、“T”は輸送艦船。いくつかのケースでは、第2サフィックス文字が、給油艦の“AO”のように、異なるタイプの船を表すために使用された。雑役艦船(ほかの文字で表される船舶を除く)の場合は“Ax”とする。しかし、ほかの例では、2番目の接尾辞文字は、最初のレターによって示された基本的なデザインのヴァリエーションを単に示すように見える。同じ基本番号の異なるデザインの間には実際のリンケージはないようだが、同じ番号と接尾辞の付いたものは、通常は関連しているように見える(詳細は異なる場合がある)。全体的に、約1年半の間にメジャー31、32、33シリーズのカモフラージュ・デザインが積極的に準備され、デザイン識別システムが進化していたことは避けられない印象である
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- ※これらを基本とした応用例は多種多様であったが、珍しい例としては1944年にジョン C. バトラー級護衛駆逐艦数隻にイギリス方式とアメリカ方式の迷彩効果を比較するために左右両舷に別々の塗装(例えば右舷にメジャー32、左舷にメジャー33)を施したことあり、病院船はジュネーヴ会議で定められた塗装が施行
- ※第二次大戦中の魚雷艇はメジャー番号による基準塗装のほか、特異な迷彩としてシマウマ模様のゼブラ塗装や魚雷艇隊で独自に塗装した迷彩パターンもあり、変化に富んでいる。第二次大戦初期から中期にかけて太平洋水域で活動した魚雷艇は、メジャー1、2、3の単色塗装が多く、中期以降はメジャー31によるパターン塗装が多く見られた。Dapple Pattern(まだら塗装)は大戦中期に見られた塗装で、太平洋水域での作戦の戦訓により、Gray系の船体にGreen系のまだら迷彩が迷彩効果を持つことが分かり、現地の魚雷艇隊で応急的に塗装されたもの。Gray系の単色塗装の艇体にNavy Green、Ocean Greenの塗装で雲型のまだら塗装を施したものである。1943年5月にニュー・ギニアの魚雷艇基地で撮影された第8魚雷艇隊の魚雷艇PT-66、PT-68にこのパターンが見られる
- ※Zebra Pattern(縞馬模様)の塗装はダズル・ペインティングの一種として、第一次大戦中、大型艦船の迷彩塗装に使用されたが、海軍艦船局は第二次大戦中もダズル・ペインティングの研究を行っており、魚雷艇製作メーカーのエルコ社は大戦中魚雷艇PT-170に試験的に縞馬塗装を施した。PT-170は白と黒の帯状の塗装を縦、横、斜めに不連続に施しており、上構、魚雷発射管、機銃にも白黒のシマウマ塗装がなされていた。白黒のシマウマ塗装は敵の目を眩惑させ、船型、速力、距離の視認を誤らせる効果を狙ったもので、PT-170は第10魚雷艇隊に編入され、西太平洋での実践テストを行った。シマウマ塗装がどの程度魚雷艇に塗装されかは明確ではないが、第10魚雷艇隊のPT-167にもその例が見られる(1、2)
- ※そのほかにシャーク・マウス(魚雷艇の艇首にサメが口を開けている模様)。1943年初期にツラギ基地で撮影された第3魚雷艇隊の魚雷艇PT-116にその例がある。塗装色は不明だが、恐らく歯を白、口の中を赤く塗装している。艇番号、ニックネームは、魚雷艇の艇番号は艦橋部前面もしくは側面に白色ペイントで記入するのが普通の塗装方式であるが、赤字で白く縁取りしたのもある。また大西洋水域で活躍した魚雷艇では艇首部舷側に艇番号を記入した例もあり。艦橋部に魚雷艇のニックネームを記入する例も多い。例えば“Shangri-La”(PT-216)、“Tokyo-Ahead”(PT-160)、“Sharks Head”(PT-203)などなど、艇長が好みのニックネームを記入するのが基本で、艇長が交代するとニックネームも変更される場合が多く、PT-159(Red Dragon、Red Devil、Janie)のように三つのニックネームを持った艇もある。キル・マーク。海軍は艦橋部に撃沈、撃墜した敵の艦艇、航空機のマークを記入する例が多かったが、魚雷艇も例にもれず、キル・マークを記入した例が多い。例えば第7魚雷艇隊のPT-134の場合、艦橋部に日本陸軍の上陸舟艇大発、トラックおよび軍艦旗の絵を描き、その下に撃沈、撃破した大発、トラックの数を斜線で描いている。ニュー・ギニア方面、フィリピン方面での島嶼作戦では、魚雷艇が有効に沿岸作戦に使用され、日本陸軍の補給、増援用大発を魚雷艇の機関砲により撃破し、また陸岸のトラックも機関砲、迫撃砲によって攻撃したが、中でもPT-134は大発24隻、トラック17台撃破のキル・マークを記入していた
- ※余談だが、居住区の色はアメリカ海軍では1951年まではリノリウム・タイル用2色、隔壁用1色、家具用1色、カーテン用1色と定めていた。そののち、これだけでは評判が悪かったため、さらに色の種類を増やし、タイル用8色、隔壁用9色、家具用5色と定め、カーテンや椅子覆いは各艦ごとにそれぞれ好みの色を採用するようになった
- ※沿岸警備隊船艇の塗装は、航洋および港湾用のカッターは伝統的に船体は白、クリーム色(Buff Colour)のマストと煙突を有し、遠方から見てそれとわかるように塗装されている。これは第一次大戦前までのアメリカ海軍も大体同じであった。港内作業用の曳船や設標船では船体を黒色とし、上部構造物は白色、そして煙突のみをクリーム色とするのが原則
Update 24/11/07