砕氷船
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戦闘や事故で失った場合(沈没、墜落)や損傷した場合、艦船などの内部で事故や事件がおこった場合の意味です。自軍や同盟軍、所属機関、所有会社が行った沈没処分や破壊処分、漁礁としてまたは演習で使用して沈めた場合にはこのアイコンは付けません |
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戦果や功績、各機関に寄贈された場合の意味です。戦争などで沈没し、何十年後に発見された場合もこのアイコンです |
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映画やTVドラマ、ドキュメンタリーに使用された場合の意味です |
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参考文献、小説や書籍に登場する事柄です |
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インターネットやTVゲームに登場する事柄です |
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不可解な事故&事件およびUFOなど超常現象に遭遇した事柄です |
- ※DPMAはDrydocking Phased-Maintenance Availabilityの略。深さ(D:depth)とは竜骨の上面から上甲板梁の船側における上面までの垂直距離。喫水もしくは吃水(d:draft)とは水面に浮かぶ船の水面下の深さをいい、水面からキールの下面までの垂直距離を指す
- ※データは砕氷艦バートン・アイランド級の項を参照
- ※搭載機:ヘリコプター2機
船名 | NAME | 造船所 記号 |
船種記号 | 建造所 | 就役日 | 退役日 | 除籍日 | 備考 |
スタテン・アイランド (1、2) |
Staten Island | CG-96 | WAGB-278 | ウェスタン・パイプ&スチール社 | 1966/2/1 | 1974/11/15 | ◎1942/6/9 起工 ◎1942/12/28 進水 ◎1944/2/26 ソヴィエトに貸与されSeverny Veterと改名(1、2) ◎1951/12/19 ソヴィエトより返還され海軍に移管 ◎1966/2/1 沿岸警備隊に移管され、船種記号をWAGB-278に改める ![]() |
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◎Antarctic Dec 1970-Mar 1971 (1, 2). | ||||||||
イーストウィンド | Eastwind | CG-97 | WAGB-279 | ウェスタン・パイプ&スチール社 | 1944/6/3 | 1968/12/13 | ◎1942/6/23 起工 ◎1943/2/6 進水 ![]() ![]() ◎1972/7/31 売却 ◎Kearnyにて解体 |
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◎Captured German weather station, east Greenland, 4 Oct 1944. Greenland. ☆WAGB-279の撃沈スコア(以下の艦船) ・1944/10/15 ドイツ海軍気象・補給艦Externstiene(グリーンランドにて拿捕、1、2、3) ◎Antarctic 1955-1956, 1960, 1961, 1962, 1963. |
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サウスウィンド (1、2) |
Southwind | CG-98 | WAGB-280 | ウェスタン・パイプ&スチール社 | 1944/7/15 | ◎1944/7/15 沿岸警備隊に移管され、船種記号をWAGB-280に改め、サウスウィンドと命名 ◎1945/3/25 退役、ソヴィエトに貸与されAdmiral Makarovと改名 ◎1949/12/28 横須賀にてソヴィエトより返還され海軍に移管 ◎1966/10/31 沿岸警備隊に移管され、船種記号をWAGB-280に改める ◎1967/1/18 再役、サウスウィンドと改名 ◎1968 サウスウィンドがメリーランド州ボルティモアを出発し、南極大陸をはじめとする世界各地へ7ヶ月間の派遣を行った。 1969年5月7日にボルティモアに戻るごろには、沿岸警備隊史上2隻目の地球一周を達成したカッターとなっていた ◎1974ごろ 退役 |
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◎Greenland. | ||||||||
CG-99 | WAGB-281 | |||||||
◎Antarctic 1957-1958. | ||||||||
CG-184 | WAGB-282 | |||||||
◎Antarctic 1947, 1957, 1959. | ||||||||
バートン・アイランド (1、2、3) |
Burton Island | WAGB-283 | ウェスタン・パイプ&スチール社 | 1966/12/15 | 1978/5/9 | ◎除籍後、沿岸警備隊に移管され、船種記号をWAGB-283に改める ◎退役後、海事局に移管 ◎1980/8/17 解体のため、San JoseのLeven Metals Corp. に売却(売却額$261,000) |
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◎Operation Deep Freeze, 1967-1978 (1, 2, 3, 4). Antarctic Dec 1970-Mar 1971 (1, 2). | ||||||||
エディスト (1、2、3) |
Edisto | WAGB-284 | ウェスタン・パイプ&スチール社 | 1965/10/20 | 1974/11/15 | ◎1965/10/20 沿岸警備隊に移管され、船種記号WAGB-284に改める![]() ◎退役後、海事局に移管 ◎General Service Administrationに移管 ◎1977/9/29 メリーランド州ボルティモアのボストン・メタルズ社に売却 ◎CareyのUnion Minerals Companyに再売却 |
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◎Antarctic Dec 1969-Mar 1970 (1, 2, 3). |
- 軽荷排水量(1965年時):3,049t 満載排水量(1945年時):5,200t(1965年には5,253t) 全長:88.39m 幅:22.65m(22.68mともいわれる) 吃水(1945年時):5.79m(最大、1965年には5.86m(最大)) 主機/軸数:フェアバンクスモース式10-cyl. ディーゼルエレクトリック6基/3軸(1軸は前方) 出力:12,000馬力(のちに10,000馬力) 速力(1945年時):16.0kt(1975年には18.5kt) 航続力(1965年時):17.9ktで9,720浬(1989年には9.0ktで41,000浬) 乗員(1945年時):士官10名、准士官2名、下士官兵132名(1965年には士官11名、准士官2名、下士官兵122名)
- ※レーダー:SL-1(1945年時)
- ※12tクレーン2基を搭載
船名 | NAME | 船種記号 | 建造所 | 就役日 | 退役日 | 除籍日 | 備考 |
マッキノー | Mackinaw | WAGB-83 | Toledo Shipbuilding Company | 1944/12/20 | 2006/6/10 | 2006/6/10 | ◎1966/5/1 船種を砕氷船(WAGB-83)に改める ◎除籍後、Mackinaw Cityにて記念船となる |
- ※データは設標船ストリスの項を参照
船名 | NAME | 船種記号 | 建造所 | 就役日 | 退役日 | 除籍日 | 備考 |
ストリス | Storis | WAGB-38 | トレド・シップビルディング社 | 1942/9/30 | 2007/2/17 | ◎のちに船種を砕氷船(WAGB-38)に改める ◎1972/1/17 ストリスは、2隻のソヴィエト漁船、362フィートの 工場船Lamutと278フィートの船尾トロール船Kolyvanを、 米国領海12マイル内で漁業をしていたとして押収した。より劇的な法執行任務の1つとして、1972年1月17日、ストリスは米国の領海内で2隻のソヴィエト漁船を発見した。レーダーがこの2隻を保護水域内に捕捉し、さらに調査したところ、ストリス278フィートの漁船Kolyvanが米国の法律に違反して362フィートの水産加工船Lamutに漁獲物を荷揚げしているのを発見した。ストリスは、武装した乗船隊をソヴィエト船に乗船させ、アラスカ州Adakの海軍基地に向かわせた。 船がAdakに向かう途中、Lamutは沿岸警備隊の乗組員を乗せたまま逃走を図った。1時間の激しい追跡ののち、ストリスの船長であるウィリアム P. アレン中佐 Commander William P. Allenは、司令官からLamutの船首に向けて発砲する許可を得た。ストリスはLamutに発砲の準備ができたというメッセージを送り、ソヴィエト船は停船した。ストリスは両ロシア船長を逮捕し、カッターで拘束した。3隻の船はすべてAdakに到着し、2隻のソヴィエト船は告訴された ◎1972後半 中距離カッターに改装、船種を中距離カッター(WMEC-38)に改める |
- ※データは砕氷艦グレイシャーの項を参照
艦名 | NAME | 艦種記号 | 建造所 | 就役日 | 退役日 | 除籍日 | 備考 |
グレイシャー (1、2) |
Glacier | WAGB-4 | インガルス造船所 | 1987/7/7 | ◎退役後、沿岸警備隊に移管され、船種記号をWAGB-4に改める ◎退役後、海事局に移管、国家防衛予備船隊に編入 ◎1987/7/8 ワシントン州ブレマートンへ曳航、装備を撤去、係船 ◎1991/3/3 Suisun Bayへ曳航 ◎2012/2/12 解体のため、テキサス州BrownsvilleのEsco Marineに売却(売却額$146,726.00) ◎2012春 カリフォルニア州メア・アイランドのDrydock No. 2にて入渠、船底の清掃(1、2、3、4、5) ◎2012/5/7 BrownsvilleのEsco Marineへ曳航(2012/6/19到着) |
- 基準排水量:10,430t 満載排水量:13,194t(13,623tともいわれる) 全長:121.64m 幅:25.45m(25.48mともいわれる) 吃水:8.53m(10.24mともいわれる) 主機/軸数:CODLOG(プラット&ホイットニー式FT-4A12ガス・タービン3基、アルコ式16V-251Fディーゼル発電機6基、モーター3基)/3軸 出力:ガス・タービン60,000馬力、モーター18,000馬力 速力:18.0kt 航続力:18.0ktで16,000浬(18.0ktで18,000浬ともいわれる) 兵装:12.7mm機銃もしくは7.62mm単装機銃2基、小火器 搭載機:ヘリコプター2機 乗員:138名(士官15名、下士官兵127名とも士官、下士官兵合わせて157名ともいわれる/科学者33名/航空要員12名)
※3ktの連続砕氷能力1.82m、最大砕氷厚さ6.4mの能力を持つ
↑MCMURDO STATION, Antartica (Jan. 28, 2023) - The heavy ice breaker USCGC Polar Star (WAGB-10) keeps shipping channels open approaching McMurdo Station, Antarctica. Joint Task Force-Support Forces Antarctica (JTF-SFA), oversees the activities of the joint services and provides Department of Defense support to the National Science Foundation (NSF) and United States Antarctic Program (USAP) through Operation Deep Freeze. (U.S. Navy photo by Senior Chief Mass Communication Specialist RJ Stratchko)
- ※下の画像は1978年にポーラー級を武装する案が浮上
船名 | NAME | 船種記号 | 建造所 | 就役日 | 退役日 | 除籍日 | 備考 |
ポーラー・スター (1、2) |
Polar Star | WAGB-10 | ロッキード・シップビルディング&コンストラクション社 | 1976/1/19 | ◎1973/11/17 進水 ◎1977/11/15 ポーラー・スターは、“ディープ・フリーズ作戦 Operation Deep Freeze”に関連した氷上テストと作戦任務のため、南極に向けてシアトルを出発した。ポーラー・スターは最近、シアトル地区で改造プロペラとオープン・ウォーター・エンジニアリング・トレイルの設置を完了した ◎1986 近代化改装(~1992) ◎1997 入渠 ◎2010/3 退役、ワシントン州シアトルのTodd Shipyardsにて延命工事(~2012/12、修理額$57,000,000) ◎2012/12/14 再役 ◎2014 入渠 ![]() ![]() ![]() ◎2014/1/3 ポーラー・スターは2014年1月3日、オーストラリア海上安全局から、南極で氷結したとされるロシア船籍のAkademik Shokalskiyと中国船籍のXue Longの支援要請を受けた。ロシア政府と中国政府は米国にも支援を要請した。 シドニーで補給を終えたポーラー・スターは、1月4日、風速50kt、海面20フィート、横揺れ40度に耐えながら座礁船に向かっていた。沿岸警備隊の砕氷船は2013年12月、“ディープ・フリーズ作戦 Operation Deep Freeze”を支援するために母港のシアトルを離れた。同船の任務は、マクマード海峡の海氷を割って水路を確保し、米南極計画のマクマード基地とアムンゼン・スコット南極基地への補給と給油を可能にすることだった。 ポーラー・スターは2014年1月7日、オーストラリア海上安全局によってSAR任務から解放され、風の状態が好転したため、被災した両船が南極の氷から解放されたことが確認された。沿岸警備隊太平洋方面司令部は、オーストラリア海上安全局から、両船が重い氷を突き破り、ポーラースターからの支援が不要になったとの確認を受けた ◎2024/11/22 ポーラー・スターと乗組員は金曜日にシアトルを出航し、調査ステーションへの補給を目的とした毎年恒例の軍合同任務である“ディープ・フリーズ作戦 Operation Deep Freeze”を支援するため、南極への数ヶ月にわたる派遣を開始した。今回の派遣は、沿岸警備隊が南氷洋におけるNSFの南極活動と米国南極プログラムを支援して28年目にあたる。ポーラー・スターの任務には、氷を貫通して航行可能な水路を開き、燃料や補給船がMcMurdo Stationに到達できるようにすることも含まれる。McMurdoは米国最大の南極観測基地であり、物流の拠点でもある ◎2015/2/15 ポーラー・スターは、南極McMurdo Soundの北東900マイルで約2週間にわたり南極の氷に閉じ込められていたオーストラリア船籍の漁船Antarctic Chieftainの救助に成功した。救助活動は860マイル以上におよび、ポーラー・スターは150マイルにおよぶ厚い南極の氷を突き破り、幅数マイルの氷山を回避する必要があった。Antarctic Chieftainは4枚のプロペラ・ブレードのうち3枚を氷の中で損傷したため、ポーラー・スターは約60マイルの氷を突き破り、外洋まで船を曳航する必要があった。重い氷の中を207フィートの漁船を曳航するため、曳航ロープにはさまざまな負担がかかり、救助活動中に3度切れた。外洋に出ると、Antarctic Chieftainは自力で操船することができた。漁船Janasの乗組員は、Antarctic Chieftainをニュー・ジーランドのネルソンまで護衛した。ポーラー・スターは、150マイル以上の氷を横断したのち、2月13日に漁船の乗組員のところに到着した。漁師たちは火2月10日の夕方、氷の中に閉じ込められ、レスキュー・コーディネーション・センター・ニュージーランドに救助を要請した。 RCCニュー・ジーランドは、シアトルに母港を持つポーラー・スターに、Antarctic Chieftainの救援要請への対応を要請した。 ポーラー・スターは“ディープ・フリーズ作戦 Operation Deep Freeze”の一環として南極のマクマード基地 McMurdo Stationに派遣されていた。 救助成功後、ポーラー・スターはシアトルへの帰途についた |
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◎ニックネームはビルディング10 Building 10、ブランドX Brand X、ポーラー・スペア Polar Spare、レッド・タブズ・オブ・ファン Red Tubs of Fun、ワイド・アス・ガヴァーメント・ビルディング Wide Ass Government Building | |||||||
ポーラー・シー (1、2) |
Polar Sea | WAGB-11 | ロッキード・シップビルディング&コンストラクション社 | 1978/2/23 | ◎1975/6/25 進水 ◎1977/1/19 引き渡される ![]() ◎1986 近代化改装(~1992) ![]() ![]() ◎2010 運用終了 |
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◎ニックネームはビルディング11 Building 11、ポーラー・ローラー Polar Roller、レッド・タブズ・オブ・ファン Red Tubs of Fun、ワンダーリング・アークティック・ガービッジ・バージ Wandering Arctic Garbage Barge、ウィ・オールウェイズ・ゴー・バイバイ We Always Go Bye-Bye、ホワット・ア・グレート・ボート What a Great Boat |
- 満載排水量:16,400t(16,700tともいわれる) 全長:127.74m 幅:24.99m 吃水:9.02m(9.80mともいわれる) 主機/軸数:ディーゼル電気(ディーゼル発電機4基、モーター2基)/2軸 出力:46,000制動馬力 速力:17.0kt 兵装:機銃2基 搭載機:ヘリコプター2機 乗員:士官12名、下士官10名、兵53名、科学者35名
- ※3ktの連続砕氷能力1.4mの能力を持つ
↑USCGC Healy (WAGB-20) underway. US Coast Guard Photo. Image courtesy of USNI news.
↑BEAFORT SEA (August 11, 2023) - A military diver swims behind the icebreaker USCGC Healy (WAGB-20) during a scientific mission in the Beaufort Sea with USCG divers of Regional Dive Locker West and Navy divers of Mobile Dive and Salvage Unit (MDSU) 1 Aug. 11, 2023. Together, the Coast Guard and Navy conducted 42 military dives, totaling 656 minutes of bottom time to depths of 40 feet in the Arctic Ocean. As a component of Explosive Ordnance Disposal Group One, MDSU-1 provides ready, expeditionary, rapidly deployable mobile diving and salvage companies to conduct harbor and waterway clearance, salvage, underwater search and recovery, and underwater emergency repairs in any environment. (U.S. Navy Courtesy Photo)
- 満載排水量:16,400t(16,700tともいわれる) 全長:110.00m 幅:24.40m 吃水:10.38m(depth of hull) 主機/軸数:キャタピラー式C280-12 12-cyl. 4ストローク中速ディーゼル(各エンジンは1,000rpmで4,060kW(5,440馬力)を発生する。2,000kWの軸発電機2基と1,700kWのキャタピラー式3512C補助ディーゼル発電機4基を備え、消火システムを含む船内の消費者に電力を供給している)/2軸(ショッテル可変ピッチ・プロペラ) 速力:海洋時15.0kt/砕氷時5.0kt 搭載機:ヘリデッキのみ 乗員:28名(64名部屋を備える)
- ※アイヴィクはアンカー・ハンドリング曳船兼供給船 anchor handling tug and supply vesselであるため、メイン・デッキの下に液体と個体バラ積み貨物 bulk cargoのためのチェーン・ロッカーと貯蔵タンクだけでなく、船尾に大きな牽引ウィンチを装備している。3基のバウ・スラスターと2基のスターン・スラスターを備え、そのうちの1基はアジマス式の折りたたみ式。冗長性とハンドリング向上のため、2つの高揚力舵を備えている。アイヴィクは米国船級協会 American Bureau of Shippingによって分類されている。その氷クラス ice classであるABS A3は、多年流氷が存在する極地の氷条件下での航行用に強化されていることを示している。さらに、“砕氷船 Ice Breaker”という表記は、ほかの船舶のために航行可能な水路を開くために氷を砕くために設計され、建造されていることを示している
- ※Military.comは、ProPublicaが最初に公開した記事で、新しいストリス(旧アイヴィック)の買収に疑問を呈し、同船の調達とアンカレッジを母港とする決定に不当な影響があったことを示唆している。沿岸警備隊は契約の授与において自由裁量権を持っていると考えたいところだが、もちろん、それは完全に真実ではない。このことと、極地警備船(Polar Security Cutter: PSC)プログラムでの長い困難の歴史を考えると、実績のある設計に基づくというRFP要件を満たしていない設計に対して、比較的経験の浅いハルター・マリーン社に契約を授与するという決定について疑問に思わざるを得ない。2017年2月、沿岸警備隊は、ボリンジャー造船所、イタリアのフィンカンティエーリ・マリーン・グループ Fincantieri Marine Group、ナショナル・スチール&シップビルディング社 National Steel and Shipbuilding Company、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、シンガポールのハルター・マリーン社に、極地用大型砕氷船の設計調査に関する5件の固定価格契約を授与した。2019年4月23日、ハルター・マリーン社は、リード・シップの詳細設計と建造に関する$745,900,000の契約を獲得。これはおそらく最低入札額だったろうが、非現実的なほど低い入札額であることが判明。5社の候補のうち、ハルター・マリン社は最も経験が少なく、海軍と沿岸警備隊に最も馴染みがなかった。ハルター・マリンは1983年、1996年、1999年、2003年、2022年に所有者が変わっており、安定した経営とは言えず、この提案では経験豊富な砕氷船建造業者と提携していなかった。受注当時、ハルター・マリンは米海軍向けに2隻の船を建造していたが、沿岸警備隊向けには1隻も建造していなかった。海軍向けの2隻は、ミサイル実験支援艦ハワード O. ローレンツェン Howard O. Lorenzen(T-AGM-25)と測量艦マウリー Maury(T-AGS-66)だった。 海軍がハワード O. ローレンツェンの建造で経験したことは、警戒すべき事態を引き起こしたかもしれない。Defense News のクリス・カヴァス Chris Cavas氏は次のように報告してる。“2006年に締結された当初の$199,000,000の契約に基づいて建造されたこの新しい船は、2008年8月からVTハルターの造船所で建造されており、2010年6月に納入が予定されていました。設計は、1980年代半ばに建造された2隻の海軍調査船に基づいています。”“海軍の検査調査委員会(Board of Inspection and Survey: INSURV)は、5月9日の週にメキシコ湾でローレンツェンの受入試験を実施しました...”“試験はINSURVによって「不合格」と報告されました...不合格となったのは、推力軸受の温度、および操舵とアンカーのデモンストレーションという3つの大きな矛盾が原因でした。評価された15の領域のうち3つ(電気、損傷制御、航空)も不合格と評価されました。”“INSURV は、システムが「完全に再デモンストレーションできる」まで受入を行わないよう勧告しました。”“…近年、モス・ポイント造船所 Moss Point yardで米国政府顧客向けに建造中の船舶数隻で問題が浮上している。”“昨年秋、VTハルター社が数隻の漁業調査船を建造した米国海洋大気局(National Oceanographic and Atmospheric Administration: NOAA)は、完成間近だった新しい調査船の完成を突然中止した。重量超過で沿岸地図作成任務を遂行できないと主張した。この船はNOAAに差し押さえられ、完成と改修のため別の場所に移動された。”“2005年、契約紛争により、米陸軍は物流船の完成を中止し、他の2隻の納入を遅らせた。沿岸警備隊も安全記録を調べたかもしれない。”“…2009 年、危険な労働環境が原因で爆発が発生し、従業員2名が死亡、5名が負傷した。同社は、閉鎖空間で故意に労働者を有毒ガスにさらしたことなど、17件の故意違反と11件の重大な違反で、米国労働省から$1320,000の罰金を科された。当時の労働長官ヒルダ L. ソリス Secretary of Labor Hilda L. Solisによると、爆発は“恐ろしい状況であり、予防可能だった。VTハルター・マリンは危険性を認識しており、故意に爆発性で有毒な雰囲気のある密閉空間に作業員を送り込んだ”という。完成していない設計を使用したことで、ハルター・マリンは失格となったはずである。これを背景として、沿岸警備隊は警告サインを見逃したのか、それとも造船所の選択で無視されたのか。これは不当な影響だったのか。最終決定を下したのは誰なのか。沿岸警備隊/海軍調達チーム、司令官、国土安全保障省、それとも他の誰かなのか。そしてその理由は?
Chuck Hill's CG Blogより
↑Aiviq in heavy seas on 30 December 2012. Image courtesy of en.wikipedia.org.
↑Image courtesy of Shipbucket.
船名 | NAME | 建造所 | 就役日 | 退役日 | 除籍日 | 備考 |
アイヴィク | Aiviq | ノース・アメリカン・シップビルディング社 | ◎2024会計年度 2010年2月3日起工、2011年11月1日進水、2012年月日竣工のEdison Chouest Offshoreの砕氷船アイヴィックの購入に$125,000,000を割り当てた ◎2024/8/14 沿岸警備隊は、商業的に調達した砕氷船の母港としてアラスカ州ジュノーを使用することを水曜日に発表した。沿岸警備隊の発表によると、沿岸警備隊はこの船を中型の極地用砕氷船に改造する計画で、そのプロセスには2年かかると見積もられている ◎沿岸警備隊は、 極地での任務準備と能力を補うために市販の極地砕氷船を購入する契約を 、11月20日にルイジアナ州カットオフのOffshore Service Vessels, LLC と締結した。総額$125,000,000の固定価格契約には、全長 360フィートの米国製極地クラス3相当の砕氷船アイヴィクの納入と再稼働が含まれてる。契約には、技術データ、スペアパーツ、必要な改造、認証、乗組員のトレーニング、運用準備活動に関する規定も含まれている ◎ストリス(WAGB-21)と改名される予定 |
- 満載排水量:23,200t 全長:140m 幅:28m
- ※沿岸警備隊の次期砕氷船はドイツ連邦教育研究省船Polar Stern IIを基にしており、ユニークなフィンランドの推進設計を採用し、アメリカのディーゼル・エンジンを搭載していると造船会社VTハルター・マリーン社 VT Halter Marineは発表。2024年に沿岸警備隊に引き渡される予定
- ※米沿岸警備隊と米海軍の統合計画局 U.S. Coast Guard/U.S. Navy Integrated Program Officeは2024年12月19日、初の極地警備カッター(polar security cutter: PSC)の建造開始を承認された
- ※Military.comは、ProPublicaが最初に公開した記事で、新しいストリス(旧アイヴィック)の買収に疑問を呈し、同船の調達とアンカレッジを母港とする決定に不当な影響があったことを示唆している。沿岸警備隊は契約の授与において自由裁量権を持っていると考えたいところだが、もちろん、それは完全に真実ではない。このことと、極地警備船(Polar Security Cutter: PSC)プログラムでの長い困難の歴史を考えると、実績のある設計に基づくというRFP要件を満たしていない設計に対して、比較的経験の浅いハルター・マリーン社に契約を授与するという決定について疑問に思わざるを得ない。2017年2月、沿岸警備隊は、ボリンジャー造船所、イタリアのフィンカンティエーリ・マリーン・グループ Fincantieri Marine Group、ナショナル・スチール&シップビルディング社 National Steel and Shipbuilding Company、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、シンガポールのハルター・マリーン社に、極地用大型砕氷船の設計調査に関する5件の固定価格契約を授与した。2019年4月23日、ハルター・マリーン社は、リード・シップの詳細設計と建造に関する$745,900,000の契約を獲得。これはおそらく最低入札額だったろうが、非現実的なほど低い入札額であることが判明。5社の候補のうち、ハルター・マリン社は最も経験が少なく、海軍と沿岸警備隊に最も馴染みがなかった。ハルター・マリンは1983年、1996年、1999年、2003年、2022年に所有者が変わっており、安定した経営とは言えず、この提案では経験豊富な砕氷船建造業者と提携していなかった。受注当時、ハルター・マリンは米海軍向けに2隻の船を建造していたが、沿岸警備隊向けには1隻も建造していなかった。海軍向けの2隻は、ミサイル実験支援艦ハワード O. ローレンツェン Howard O. Lorenzen(T-AGM-25)と測量艦マウリー Maury(T-AGS-66)だった。 海軍がハワード O. ローレンツェンの建造で経験したことは、警戒すべき事態を引き起こしたかもしれない。Defense News のクリス・カヴァス Chris Cavas氏は次のように報告してる。“2006年に締結された当初の$199,000,000の契約に基づいて建造されたこの新しい船は、2008年8月からVTハルターの造船所で建造されており、2010年6月に納入が予定されていました。設計は、1980年代半ばに建造された2隻の海軍調査船に基づいています。”“海軍の検査調査委員会(Board of Inspection and Survey: INSURV)は、5月9日の週にメキシコ湾でローレンツェンの受入試験を実施しました...”“試験はINSURVによって「不合格」と報告されました...不合格となったのは、推力軸受の温度、および操舵とアンカーのデモンストレーションという3つの大きな矛盾が原因でした。評価された15の領域のうち3つ(電気、損傷制御、航空)も不合格と評価されました。”“INSURV は、システムが「完全に再デモンストレーションできる」まで受入を行わないよう勧告しました。”“…近年、モス・ポイント造船所 Moss Point yardで米国政府顧客向けに建造中の船舶数隻で問題が浮上している。”“昨年秋、VTハルター社が数隻の漁業調査船を建造した米国海洋大気局(National Oceanographic and Atmospheric Administration: NOAA)は、完成間近だった新しい調査船の完成を突然中止した。重量超過で沿岸地図作成任務を遂行できないと主張した。この船はNOAAに差し押さえられ、完成と改修のため別の場所に移動された。”“2005年、契約紛争により、米陸軍は物流船の完成を中止し、他の2隻の納入を遅らせた。沿岸警備隊も安全記録を調べたかもしれない。”“…2009 年、危険な労働環境が原因で爆発が発生し、従業員2名が死亡、5名が負傷した。同社は、閉鎖空間で故意に労働者を有毒ガスにさらしたことなど、17件の故意違反と11件の重大な違反で、米国労働省から$1320,000の罰金を科された。当時の労働長官ヒルダ L. ソリス Secretary of Labor Hilda L. Solisによると、爆発は“恐ろしい状況であり、予防可能だった。VTハルター・マリンは危険性を認識しており、故意に爆発性で有毒な雰囲気のある密閉空間に作業員を送り込んだ”という。完成していない設計を使用したことで、ハルター・マリンは失格となったはずである。これを背景として、沿岸警備隊は警告サインを見逃したのか、それとも造船所の選択で無視されたのか。これは不当な影響だったのか。最終決定を下したのは誰なのか。沿岸警備隊/海軍調達チーム、司令官、国土安全保障省、それとも他の誰かなのか。そしてその理由は?
Chuck Hill's CG Blogより
船名 | NAME | 船種記号 | 建造所 | 就役日 | 退役日 | 除籍日 | 備考 |
VTハルター・マリーン社 |
Update 25/02/15