電子戦装置
ELECTRONIC WARFARE SYSTEM


↑USS Fitzgerald (DDG-62). At the U.S. Fleet Activities Yokosuka, 2 August 2014. Photo by VANDY-1.
※海軍作戦部長 Chief of Naval Operations(CNO)は1970年代初頭、既存および計画中の船舶監視センサーに代わる、あるいは補完するための安価な電子戦装置の開発を最初に検討した。1967年にエジプトがソ連のSS-N-2 STYXを使用してイスラエルの駆逐艦エイラート Eilatを撃沈したことで顕在化した対艦巡航ミサイル(ASCM)の脅威に対応する為であった。開発中のASCMを分析した結果、殆どの艦船に搭載されている既存のAN/WLR-1とAN/ULQ-6システムでは、ASCMの命中を防ぐのに間に合わないという結論に達した。また、ASCMの特性上、攻撃を早期に察知することが出来ない為、ハードキル兵器も有効ではなかった。1972年、CNOは低コストの電子戦装置の開発を許可し、AN/SLQ-32(V)が誕生した。AN/SLQ-32(V)は、脅威となる武器システムのエミッターや標的となるプラットフォームに関連するエミッターの早期警告、自艦のハードキル兵器への脅威情報の提供、チャフ・デコイの自動散布、特定及び汎用ASCMの軌道を変更する電子攻撃(EA)などの運用能力を備えている。 海軍は1977年5月にレイセオン社にAN/SLQ-32(V)の最初の製造契約を発注し、1979年度に初期運用能力(IOC)を達成した。1979年7月にAN/SLQ-32(V)2の運用評価がミサイル・フリゲイト・オリヴァー・ハザード・ペリー Oliver Hazard Perry(FFG-7)で行われた。1982年度には、原子力ミサイル巡洋艦ミシシッピ Mississippi(CGN-40)に搭載されたAN/SLQ-32(V)1と(V)3について、最終的な技術評価(TECHEVAL)とOPEVALが完了した。 製造開始直後、国防長官は、進化する脅威に対応する為にシステムの性能を向上させるべく、電子戦改善プログラム(EWIP)の実施を指示した。その結果、1987年から改良が行われ、AN/SLQ-32A(V)という名称が付けられた。この“アルファ”には、さまざまな技術変更案(ECP)が組み込まれている。例えば、バンド3の感度を上げてESレンジを拡大し、高仰角をカヴァーするバンド3改良(ECP 206)、20MBのハードディスクを内蔵し、旧システムの3倍の速度を持つ新しいプロセッサを搭載したデジタル・プロセッサ・ユニット(DPU)改良(ECP 463)等である。連続波(CW)高パルス繰り返し周波数処理能力の向上、バンド3電磁干渉(EMI)フィルタの数の増加、既存の2つの固定周波数ノッチ・フィルタの柔軟性の向上、デジタル・トラッキング・ユニットの処理負荷の低減を実現したInterference Suppression(ECP469)、送信機方向の利得と海面反射を低減することで自船のエミッターからの隔離性を高め、脅威の方向のアンテナ利得を増加させて仰角のカヴァー率を向上させたSemi-Omni Antenna for Band 3(ECP470)。その他にも改良が加えられたが、“アルファ”のアップグレードには含まれていない
AN/SLQ-32A電子戦システム 海軍の船舶防衛システム(SSDS)に不可欠なコンポーネントであり、効果的な資産である
AN/SLQ-32(V)1 1つのRFバンドで電子支援(ES)を行い、飛来する対艦ミサイル(ASM)の端末誘導レーダーの警告、識別、方向探知を行う
AN/SLQ-32(V)2 ASMに関連する標的レーダーに対する早期警告、識別、方向探知を追加するために、RF coverageを拡大したESを提供する
AN/SLQ-32(V)3 ターゲティング・レーダーとASMターミナル・ガイダンス・レーダーに対する電子攻撃(EA)ジャミング機能を追加
AN/SLQ-32(V)4 汎用航空母艦(CV/CVN)に搭載されている
AN/SLQ-32(V)5 AN/SLQ-32A(V)2にEAを追加したもので、ミサイル・フリゲイト・オリヴァー・ハザード・ペリー級に搭載

(↑オリヴァー・ハザード・ペリー級ミサイル・フリゲイト・オリヴァー・ハザード・ペリー(FFG-7))
※1987年5月にペルシャ湾において、ミサイル・フリゲイト・スターク Stark(FFG-31)は、イラクのミラージュF1EQ-5から発射された2発のエクゾセ・ミサイルによって攻撃された。この事件後、電子支援専用のAN/SLQ-32A(V)2電子戦(EW)システムを搭載したミサイル・フリゲイト・オリヴァー・ハザード・ペリー級に電子攻撃能力を持たせる事が急務となった。迅速な開発能力プロジェクトが開始され、6ヶ月後にはSIDEKICKが実戦配備された。稼動率を高く保つ為に、rotatable poolが設けられた。AN/SLQ-32A(V)2とSIDEKICKの組み合わせは、AN/SLQ-32(V)5という名称で知られている。レーダー指向性の対艦ミサイル(ASM)からの艦船保護や、敵機の照準レーダーを混乱させる為に最適化された性能だ。AN/SLQ-32(V)5は、レーダー水平線上の高高度の脅威やミサイルの脅威を探知し、ミサイルシーカーの欺瞞妨害や照準レーダーのノイズ妨害を行い、複数のエミッターを追跡する事が出来る。SIDEKICKシステムは、EW機器室に設置されている追加の機器ラックとサポート機器、そして送信ユニットを搭載した2つの追加のアウトボード・エンクロージャーで構成されている。左舷と右舷に設置された送信ユニットは、それぞれ180度の範囲をカヴァーしている。また、進行波管からのノイズがAN/SLQ-32A(V)受信機に入り、電子攻撃と電子支援の両方の機能に影響を与える。艦種によっては、トップサイドのデザインが問題の深刻さに影響する。例えば、SHIPALT CG 47-00268では、RADHAZゾーンを避ける為にデコイ・ランチャーの位置を変更したが、同時にEMIの問題を悪化させた。1996年4月にミサイル巡洋艦カウペンス Cowpens(CG-63)のフレーム174とAN/SLQ-32A(V)3の間にRF吸収材(RAM)バリアを設置するテストを行った結果、瞬間周波数測定(IFM)のノイズ・レヴェルは正常に戻った。ミサイル巡洋艦カウペンス(CG-63)に設置されたようなRAMバリアは、PCMS(Passive Countermeasure System)処理されていないミサイル巡洋艦タイコンデロガ級の23隻に義務付けられる予定。AN/SLQ-32(V)のRFIST(Radio Frequency Isolation Self Test)の使用が承認され、サポート体制が確立された。AN/SLQ-32(V)が電子攻撃(EA)を行っている時、放射されたエネルギーの一部は上部構造から反射され、電子支援(ES)受信機で検出される。AN/SLQ-32(V)では、放射エネルギーが新たなエミッターとして認識され、オペレータの混乱やリソースの消耗を招くことを防ぐ為に、DTL(Dynamic Threshold Leveling)というプロセスを採用している。DTLは、運用ソフトウェアに組み込まれた定数を用いて、送信の角度と周波数に基づいて受信機のしきい値を減感することで、これらの反射による偽エミッターを本質的に排除する。RFISTは、従来のアイソレーション方式やシステムに代わるものとして開発されたもので、人手や機器を必要とし、時間がかかり、SLQ-32の外部に設置する必要があった。RFISTは、SLQ-32の受信機と送信機のシステムをSLQ-32内部のソフトウェアで制御し、既存のSLQ-32の運用・診断ソフトウェアと同様に、磁気テープカートリッジ(MTC)またはハードディスクから読み込まれる。この定数は、従来、専門の技術者が特殊な試験装置を用いて決定していた。しかし、この作業はコストが高く、論理的にも困難であった為、測定頻度が低いか全く行われていなかった。RFISTでは、各船社が都合の良い時期に、都合の良い周期で測定を行うことが出来る。AN/SLQ-32(V)アンテナの筐体周辺や上部構造のわずかな変化でも、DTLプロセスで対策した反射特性が変わってしまう為、RFISTプロセスは船舶の構成に変化が生じた場合には必ず実施する必要がある。艦船のデータが多ければ多いほど、悪いデータが発生した時にそれを容易に認識することが出来る。また、データを追加する事で、ソフトウェアに組み込まれている値の信頼性が高まる。その為、RFISTを出来るだけ頻繁に実行することは有益だ。RFISTプログラムを実行して良い結果を得る為には、運用ソフトウェアのDTLプロセスが正しく動作することが不可欠だが、DTLゲート幅のタイミング・アライメントが正しく設定されている必要はない。AN/SLQ-32(V)では、システムの高周波部分の正しい動作に影響を与えるような不具合がないことが必須。RFIST Revision 1.0は、概念実証の為の最初の研究・分析用リリースだった。その後、数回の改訂を経て、SLQ-32の全ての有効なvariantの自動判別とデータ収集が可能になった。最新の改訂版(7.0)では、ハードディスクを使用して、中断したセッションを中断した時点から継続出来る様になった。RFIST Revision 7は、AN/SLQ-32(V)の全ての現役ヴァージョンで動作する。これには、AN/SLQ-32(V)3、A(V)3、(V)4、(V)5が含まれる。RFISTソフトウェアは、インストールされているvariantを自動的に判断し、適切に動作する。オペレーター・インターフェースは全てのケースで同じ。Revision 7では、ハードディスクを使用してデータを一時的に保存出来る様になった
※ブランキング Blankingは、AN/SLQ-32(V)対策セットにおいて、自艦のパルス・エミッターからの干渉の殆どを低減または除去した。ブランキングとは、自艦のパルス・エミッターがRF出力パルスを発生させた時に、その影響を受ける受信機のRFフロント・エンドを一定時間無効にする事。劣化(受信機のオフタイム)を最小限に抑えるために、ブランキングは実際に必要な時だけ行う必要がある。AN/SLQ-32に付属のAN/SLA-10Bブランカー・ユニットでは、各プリトリガ入力の処理に1つのブランキング・パルス幅と遅延を使用していた。干渉を最小限に抑えるために、ブランキング・パルスの持続時間は、エミッターの最長のパルス持続時間と、最悪の状況である海還りをブランクにするように設定されている。最悪の状況以外では、この調整はAN/SLQ-32のオーヴァーブランキングになる。最適なブランキング調整は、PULSE DELAYとPULSE WIDTHコントロールを、受信機の“OFF”時間への影響を抑えながら、一貫したブランキングを行うために必要な最小値に設定したときに得られる。ブランキングが不十分な場合、Own Shipのエミッターが処理されて再生されなくなり、逆にブランキングが過剰な場合、受信機の“ルック・タイム”が減少する。ブランキングは、天候によるAN/SLQ-32(V)の受信能力への影響を最小限にする為に、通常の海況下で行う必要がある。高波が発生し、海からの戻りが問題となる場合には、自機のエミッターの反射を補正するためにブランキング・パルスを増やすことが出来る。しかし、天候が正常に戻ったら、ブランキング・パルスは通常の海の状態に合わせた設定に戻す必要がある。これまでAN/SLQ-32は、AN/SLA-10Bの限界によるオーヴァーブランキングを許容し、システム全体の性能を殆ど低下させる事なく運用してきた。しかし、現在導入されているエミッターの多くは、性能向上のためにパルス幅やパルス繰り返し間隔を大きく変化させて使用している為、AN/SLA-10Bのオーヴァーブランキング(受信機のオフタイム)が大きくなってしまった。この問題を解決する為の一つのアプローチとして、Automated Blankingの開発がある。AN/SLQ-32からのフィードバック・ループを利用してスマート化したブランキング・カードである。この改良型ブランキング・カードは、AN/SLQ-32のプリソータから得られる様々なアクティヴィティ・ストローブ・データに基づいて、ブランキング・パルス幅を継続的に再調整する。このコンセプトは、その性質上、AN/SLQ-32のバンド2と3にしか適用出来ない。自動ブランカーのプロトタイプがNSWC Craneで設計、テストされた。プロトタイプは、AN/SLQ-32からのフィードバック信号とAN/SLA-10Bからのプリトリガ信号を抽出する一時的なブレイクアウト・ボックスで構成されている。プロトタイプのラボテストは完了した。1997年4月28日から5月2日にかけて、ミサイル・フリゲイト・クラクリング Klakring(FFG-42)で海上テストが行われた。資金提供を受ければ、この改造はフィールド・チェンジ(FC)として実施される。FCの範囲のため、改造は、NAVSURFWARCENDIV Craneで AN/SLA-10Bを修復する事によって達成されるだろう。デコムの資産を使って、回転可能なプールを設立する。復元中に、必要な修正が加えられる。改良されたシステムは、船上に設置される事になる。アップグレードされたDDIコンソールは、標準的なAN/SLQ-32(V)コンソールにブルノーズ改造を施し、最大6台のデコイ・ランチャーを制御できるようにしたもので、FABの機能を変更し、完全に自動化されたデコイ発射機能を提供する回路カードを追加したものである。当初はAN/SLQ-32(V)の全機にDDIコンソールが搭載される予定だったが、Nulkaデコイの開発と資金の減少により、DDIコンソールの調達数は約40機に制限された。Mk. 36デコイ発射システムがNulka機能を追加する為に改造され(Mk. 53に変更)、すべての発射装置が新しいデコイ発射プロセッサに接続されるが、このプロセッサはDDIコンソールで改良されたハードウェアの多くを複製している。この為、Nulka搭載が予定されている艦船は標準コンソールを維持し、調達中のDDIコンソールはNulka非搭載艦に向けられている
※1998年2月、Naval Surface Warfare Center Dahlgrenは、AN/SLQ-32A(V)を搭載した艦船にRev. 17運用ソフトウェアの提供を開始した。1997年4月にメリーランド州 State of Marylandのワロップス島 Wallops Islandで行われたFOT&E(Follow On Test and Evaluation)が成功裏に終了した事を受けて、プログラム・エグゼクティブ・オフィス(PEO)シアター・エア・ディフェンス(TAD)は、AN/SLQ-32A(V)3電子戦(EW)suiteのR17.00運用ソフトウェアの艦隊配備を開始した。R17.00運用ソフトウェアは、これまでに実施されたフェーズBの運用テスト(OT)で認証された機能、高速対艦ミサイル統合防衛システム(RAIDS)、ディセプティヴECM/デコイ統合(DDI)を統合したものである。R17.00での最大の変更点は、DDIとの統合。DDIを使ったテストでは、入ってくる脅威に対して95%以上の効果がある事が証明されている。また、R17.00では、ソフトウェア変更提案(SCP)の変更と、R16および以前のロードに対するフィードバック・レポート/トラブル・レポート(FBR/TR)の修正が行われている。R17.00では、余分な追跡や誤追跡を減らすために、エミッターの位置を予測するためにエミッターの角度履歴を使用して、角度変化率の高い既存のエミッターと新しいエミッターを相関させる機能が実装されており、異なるパルス繰り返し間隔(PRI)の結果を同じエミッターに相関させる。更に、このアップグレードでは、エミッターと車載レーダーとの相関を取っている。これにより、オペレーターは車載レーダーのパラメーターをテーブルに入力し、車載システムに起因するエミッターの表示を防ぐ事が出来る。また、このアップグレードでは、異なるAOAで報告された信号を同じエミッターに相関させることが出来る。R17.00では、従来のバンド3エミッターの相関に加えて、バンド2エミッターの相関も可能になった。この機能には、Band 2/Band 2、Band 2/Band 3、Band 3/Band 3エミッターの組み合わせの相関が含まれる
※DDIの統合により、システムは予想されるプラットフォームの修正を行う事が出来る様にになった。シングル・エミッターの識別において、R17.00は、予想されるプラットフォームを持たないエミッター候補と、既存のプラットフォームとの相関を防ぐ事が出来る。また、プラットフォームが予想されるエミッター候補をオペレーターが排除する事も防いでいる。もう一つの機能は、非ミサイルの脅威に対して最小限の操作でEMジャミングを開始するSelected Emitter Automatic Response(SEAR)の実装である。この機能は、新しいエミッターの検出結果を、オペレーターが定義した自動交戦基準(ELNOT、ベアリング・セクター)と比較し、比較結果が良好な場合はオペレーターの介入なしに自動的に新しいエミッターを交戦させる。ヒューマン・マシン・インターフェースを改善するために、ディスプレイの変更が加えられた。この改良は、殆どの表形式のディスプレイを、ポーラ・ディスプレイにいながらにして検査や変更が可能なウィンドウ形式のディスプレイに置き換えることで実現した。このディスプレイのおかげで、オペレーターはプロンプト中に入力した情報を失う事なく、アラートを確認することが出来る。R17.00では、スキャン・アルゴリズムの改良を行い、スキャン判定に成功したエミッターの数を増やし、ドロップド・ローブやスタッガード/パルス・グループのエミッター・タイプの条件でもスキャン判定が出来る様になった。非ミサイル・エミッターが非アクティヴになった場合(Digital Tracking Unit(DTU)がDigital Processor Unit(DPU)にdelete emitterメッセージを送信した場合)、そのエミッターへのエンゲージメントを自動的に中断し、割り当てられたリソースを解放する様に修正された。その後、そのエミッターが再びアクティヴになると、ソフトウェアが自動的にエンゲージメントを再開する。R17.00では、予想されるプラットフォームを修正し、現在のジオエリアでアクティヴになる可能性のあるプラットフォームのみを表示する様にした。その他のソフトウェアの変更点としては、プラットフォーム名ファイルへの追加時にプラットフォーム名の文字列が重複していないかどうかをチェックし、重複している場合はオペレーターに警告する機能、オペレーターがPolarモードでMEC(Multi-Emitter Correlation)操作を実行できる様にする機能、接近管理画面でプライマリではないID候補を脅威レヴェルの降順で並べる機能、Expand Threat Data Base(旧Main Line Threat Library)等がある。Expand Threat Data Baseには以下のような変更点がある。エミッターのモードを、任意のバンド分割をせずに周波数別に表示する。脅威データベースのサイズを2048のモード、1024のエミッター、1024のプラットフォーム名、および2048のモードとプラットフォームのリンクに拡大。On-line Libraryのサイズを320モードに拡大。複数の地域別ライブラリを廃止。単一の世界規模の脅威データベースを実装し、モードにはそのモードが動作する特定の地域を示すジオタグを付ける。オペレータが適切なジオエリアを選択出来る様にする。オペレータが、オペレータが入力した一連のパラメータを使用して脅威データベースを照会出来る様ににする。周波数、PRI、スキャン期間、インデックス、名前、またはELNOTでソートされた脅威データベースのレヴューを提供する。1つのジオエリア又は全てのジオエリアに対する脅威データベースのレヴューを可能にする。R17.00では、改良されたTunable (YIG) Filter Control and Coordinationが実装されており、EMジャミング技術使用の為に要求されたHとWのデューティーサイクルを監視し、100パーセントのデューティーを超える要求を拒否し、自動的に代替技術を有効にする。R17ソフトウェアは、AN/SLQ-32A(V)の運用を、ヒューマン・インターフェース、システム運用、脅威とのエンゲージメントの各分野で劇的に変化させる。R17は、AN/SLQ-32A(V)の操作性を劇的に変えるもので、Deceptive EAとDecoy Integration(DDI)のアルゴリズムにより、デコイの発射と連携した交戦をシステムで制御出来る様になった。R17は、以前のソフトウェアのロード(R16等)と互換性がない。また、ハードディスクに保存されているライブラリは、ソフトウェアのヴァージョン間で互換性がない。R17ソフトウェアをAN/SLQ-32(V)のハードディスクにロードする前に、以前にロードされたオペレーションソフトウェアのバージョンを削除する必要がある。R17をハードディスクに読み込んだ際に、システムがクラッシュするなどの不具合が報告されている。これらの問題には、ハードディスクからの操作中にシステムがクラッシュする、ハードディスクにソフトウェアを完全に書き込む事が出来ない、ハードディスクからロードする事が出来ない、等がある。いずれのケースでも、本船が過去にロードしたバージョンのオペレーション・ソフトウェアをハードディスクから削除していなかった事が判明した

↑Image courtesy of FAS.
※AN/SLQ-32(V)が搭載された艦船を退役させる事で、新しい艦船に使用する資産を得ることが出来る。アメリカ海軍は、新規生産システムの追加契約をするのではなく、退役したプラットフォームからシステムを復元する事を決定した。海軍はLot 15以降の新規システムの生産を中止し、NSWCCDとレイセオンの共同作業でシステムの修復を行った。Lot 15では、米国とFMSを合わせて450システムが調達された。1995年11月に海軍はレイセオン社に3機のAN/SLQ-32A(V)3のレストア契約を発注した。NSWCCDはシステムの一部を修復してアップグレードし、多関節ドアを取り付けるための筐体を準備した。その後、ハードウェアはレイセオン社に輸送され、組み立てられて販売された。海軍は1998年度の第2四半期にAN/SLQ-32A(V)2を8台、A(V)3を1台の別の修復契約を結んだ。1996年5月14日のCNOメモ(Ser 00/6C5000044)は、AN/SLQ-32(V)プログラムを終了し、資金を高度統合EWシステム(AIEWS)プログラムに再プログラムするよう指示した。AN/SLQ-32(V)艦隊の資産は、その老朽化とAIEWSの漸進的な導入により、21世紀に入ってもサポートが必要である。AN/SLQ-32(V)の後継機であるAIEWSは、オープン・システム・アーキテクチャを採用し、投資コストの削減とシステムの有効性の向上を図っている。オープンな設計により、将来の技術導入を容易にし、ヒューマン・コンピュータ・インターフェースを劇的に改善してスマートシップ・マンニングを促進し、艦内LANや戦闘システムとの完全な統合を促進する。AIEWSは2段階に分けて導入される予定で、第1段階では、ヒューマン・コンピュータ・インターフェースの改善、エミッター処理の改善、特殊信号受信機を含む新しい受信機パッケージ、特定のエミッター識別機能、戦闘システムの統合の強化が図られ、第2段階では、先進的な電子攻撃サブシステムが導入される予定です。ミサイル駆逐艦オスカー・オースチン Oscar Austin(DDG-79)までの全てのAN/SLQ-32(V)の調達はLot 16で完了。ミサイル駆逐艦アーレイ・バーク級(DDG-80〜DDG-83)は、Lot 15の新しいAN/SLQ-32A(V)3を利用するか、Lot 16の復元システムを利用する。ミサイル駆逐艦アーレイ・バーク級(DDG-84〜DDG-90)ドック型揚陸輸送艦サン・アントニオ San Antonio(LPD-17)は現在、復元されたAN/SLQ-32A(V)2システムを受け取る予定。資金が利用可能になれば、ドック型揚陸輸送艦サン・アントニオ級(LPD-18〜LPD-21)には、まだ実行可能なオプションであれば、再格納されたAN/SLQ-32A(V)2が搭載される予定。ミサイル駆逐艦アーレイ・バーク級(DDG-91以降)ドック型揚陸輸送艦サン・アントニオ級(LPD-22以降)は、現在のところフォワード・フィットのAIEWSを搭載する予定。AN/SLQ-32Aに搭載されている電子戦オンボード・トレーナー(EW OBT)S10H7は、パーソナル・コンピュータ(PC)をベースにしたトレーニング・システムで、ドックサイドや海上での訓練をサポートする為に、プログラム可能なエミッター・コンタクト・シグナルを合成してAN/SLQ-32AのEW機器に注入する。艦内の電磁環境を表すデジタルおよびヴィデオ/オーディオのトレーニング信号がEWシステムのコンポーネントに注入され、プラットフォーム・エミッターの大きな断面の信号特性をシミュレートする様に調整される。EW OBTは、PCインターフェースを介して事前にプログラムされたシナリオや動的に構築されたシナリオを実行する事が出来、150以上のエミッターを同時にシミュレートする事が出来る。EW OBTのシナリオは、ローカルに制御してオペレーター・レヴェルのトレーニングを行う事も、外部から駆動して統合戦闘システム・チーム・レヴェルのトレーニングを行う事も可能。EW OBTでは、EWコンポーネントとのインターフェイスに組み込み型トレーニング・デヴァイスを利用し、オンライン脅威ライブラリ、オペレーター・コントロール・リクエスト、信号分析機能、近接制御と互換性のあるエミッター・シミュレーションを提供。シナリオで指定されたシミュレーションされたエミッターの特性は、組み込み訓練装置のリレーショナル・データベース管理システム・ソフトウェアによって選択・制御される


Update 21/11/22