戦闘報告など
Battle Report

アイコン 意味
戦闘や事故で失った場合(沈没、墜落)や損傷した場合、艦船などの内部で事故や事件がおこった場合の意味です。自軍や同盟軍、所属機関、所有会社が行った沈没処分や破壊処分、漁礁としてまたは演習で使用して沈めた場合にはこのアイコンは付けません
戦果や功績、各機関に寄贈された場合の意味です。戦争などで沈没し、何十年後に発見された場合もこのアイコンです
映画やTVドラマ、ドキュメンタリーに使用された場合の意味です
参考文献、小説や書籍に登場する事柄です
インターネットやTVゲームに登場する事柄です
UFOなど超常現象に遭遇した事柄です
1989年に海軍歴史センターが纏めた報告「Operational Experience of Fast Battleships; World War II, Korea, Vietnam」および、月刊「丸」1993年2月号から1995年5月号に連載した「戦場別/アメリカ高速戦艦ウォー・ヒストリー」より

↑BATTLE OF GUADALCANAL. BATTLESHIP NIGHT ACTION, 14-15 NOV. 1942. Image courtesy of HyperWar.

↑Image courtesy of Shipbucket.
水上戦闘
1942年11月14日〜15日
ワシントン Washington(BB-56)
の戦闘報告


(↑日本海軍戦艦霧島(1941年時(12))
1942年11月14日〜15日にかけての夜、戦艦ワシントンは第64任務部隊(Task Force 64, ComBatDiv 6.)の旗艦であった。前程に4隻の駆逐艦を配置、後方に戦艦サウス・ダコタ South Dakota(BB-57)を続航させた第64任務部隊は、ラッセル島 Russell Islandとガダルカナル島 Guadalcanal Islandの北にあり、ついでサヴォ島 Savo Island北方海域を通過しつつ、東方から南東方に航行。この地点の西方にて最初のレーダーの触接があった
0001--敵艦はサヴォ島の東に所在
0016〜00019--この間、18,500ヤードの射距離で42発の16インチ砲弾を発射、レーダーに映った大型巡洋艦もしくは戦艦は沈没したとものと認められた
0016〜0017--この間、12,000ヤードから13,000ヤードの射距離で戦艦サウス・ダコタと交戦中の日本巡洋艦もしくは大型駆逐艦に対して、100発の5インチ砲弾を発射。この時、戦艦サウス・ダコタでは火災が発生
0025〜0034--この間、北西方向に針路をとり、サヴォ島南東海岸付近にてアメリカ駆逐艦と交戦中の舟艇に対し、射距離10,000ヤードで5インチ砲弾133発を発射。この舟艇は1隻が火災を発生したほか、いずれも沈黙させられた
0100〜0107--この間、サヴォ島北西海域にて戦艦サウス・ダコタに対して砲火を浴びせていた1隻の日本戦艦に対して、8,400ヤードから12,650ヤードの射距離で16インチ砲弾75発、5インチ砲弾107発を発射。この戦艦は沈黙、レーダー・トラッキング tracked by radarによれば500度の旋回を行った
0100〜0107--この間、サーチライトで戦艦サウス・ダコタを照射し、これに砲撃を浴びせていた3隻の巡洋艦に対し、7,400ヤードから9,500ヤードの射距離で120発の5インチ砲弾を撃ち込み、これを沈黙させた
この時までに、サヴォ島南東海岸付近にて舟艇に5インチ砲弾を浴びせていたアメリカ駆逐艦1隻は沈没し、もう1隻は大火災を生じ、数分後、爆発を起こして沈没。残る2隻は砲撃を中止し南方に離脱。戦艦ワシントンがサヴォ島北西の目標に対して砲撃する前に戦艦サウス・ダコタはこの目標とサヴォ島の間を通過して東方に向かうのが視認されている
レーダー・トラッキングと目視による日本艦隊の状況は次の通り
@--重巡洋艦もしくは戦艦(戦艦ワシントンの砲撃により沈没と推定)
A--重巡洋艦2隻(戦艦サウス・ダコタ及び戦艦ワシントンの5インチ砲の砲撃により沈没と推定)
B--駆逐艦1隻(アメリカ駆逐艦及び戦艦ワシントンの5インチ砲の砲撃により沈没と推定)
C--14インチ主砲搭載の戦艦1隻(戦艦ワシントンの砲撃により大破と推定)
D--駆逐艦1隻炎上(戦艦ワシントンの5インチ砲弾による)
E--5〜9隻の舟艇を撃破(アメリカ駆逐艦の砲火および戦艦ワシントンの5インチ砲、戦艦サウス・ダコタの砲撃による)
本海戦について、次の諸点が指摘されている
@--アメリカ軍艦に搭載されたレーダーは、夜間における長距離砲戦にあたって、極めて高い精度を示した。もしも日本海軍が、レーダーを艦上に装備していたとしても水上目標に対してかかる精度は発揮できなかっただろう
A--日本海軍はアメリカ海軍がレーダーを使用していることを充分に認識しており、レーダーが電波を発射した際に目標とその間にカヴァーとなる様な陸地をおくという点にはっきりと気付いていた
B--アメリカ海軍の目視能力は日本海軍より優れている
C--アメリカ海軍の射撃指揮及び砲弾の効力は予想以上に大なるものがあった
D--夜間戦闘を回避するよりも、最大射程で砲戦を開始することにより、我に有利な状況を作り出すべきである
火砲の威力
戦艦ワシントンは終始、単艦で戦った。同艦は照射を受けず、被弾もなく、わずか左舷200ヤード付近に着弾した中口径砲の水柱を視認したのみ。観測手は他の艦艇が、日本艦艇の正確な集中射撃を受けていることを確認している。サヴォ島に接近した日本艦隊は、アメリカ駆逐艦に対して正確な自動火器の射撃を実施。日本艦隊はレーダーを装備していなかったことが明らかである。戦艦サウス・ダコタに対するサーチライトによる照射は見事であったがその所在を確認し、照準の修正を実施できるという結果を生んだ


Update 23/10/05