対空ミサイル
Anti-Air Missiles

※INSはInertial Navigation System(慣性航法システム)、SARHはSemi Active Radar Homing(半能動レーダー追尾)、BPDMSはBasic Point Defense Missile System(基本型個艦防御ミサイル・システム)。IPDMSはImproved Point Defense Missile System(基本型個艦防御ミサイル・システム)。NSSMSはNATO Sea Sparrow Missile System(NATOシー・スパロー・ミサイル・システム)。VLSはVertical Launch System(垂直発射システム)。ESSMはEvolved Sea Sparrow Missile System(発展型シー・スパロー・ミサイル・システム)。DLはData Link(データ・リンク)。TVCはThrust Vector Control(推力偏向制御)の略
※コンソリデーテッド・ヴァルティ・エアクラフト(コンヴェア)社(現レイセオン社傘下スタンダード・ミサイル社)製
※テリアは、アメリカ海軍初の艦載型中距離地対空ミサイルである。長距離地対空ミサイルSAM-N-6タロスの開発を最終目標としたバンブル・ビー・プログラム Bumblebee programの成果の一つである。タロスの開発中、超音速での誘導システムを評価するために超音速試験ヴィークル(超音速試験ヴィークル Supersonic Test Vehicle: STV、CTV-N-8)が製造された。この結果は有望であり、複雑なタロスの開発にはさらに長い年月がかかるため、STVを戦術ミサイル・テリアに発展させることが決定された。テリアの飛行試験は1951年に開始され、SAM-N-7という呼称も割り当てられた。バグを取り除くのに数年かかり、テリアが実用化されたのは1956年であった。生産はSAM-N-7で開始されたが、数ラウンドののち、わずかに改良されたSAM-N-7aテリア1aに切り替えられ、まもなくテリアBW-0(Beam-riding, Wing-controlled, series 0)と呼ばれる事になった。この機体はビーム誘導方式を採用し、飛行制御には翼を使用した。アレガニー・バリスティクス Allegany Ballistics社製の固体燃料ブースターとMWケロッグ MW Kellogg社製の固体燃料サステナー・モーター sustainer motorを搭載していた。テリア1bはエレクトロニクスを再パッケージ化したヴァージョン(APL/Philcoが設計)であったが、これは生産されなかった。また、電子機器の再設計(BuOrd社主導、モトローラ Motorola社設計)が行われ、SAM-N-7c Terrier 1cヴァージョンが誕生した。この変種はのちにテリアBW-1と呼ばれ、基本的にBW-0と同じ特性を持ヴァリエーションを区別するためにSAM-N-7の基本名称に接尾辞を使用したのは短命で、BW-1の生産中に廃止された。それ以降、テリアは単にSAM-N-7として知られ(それすらもほとんど使われなかった)、その亜種はBW-0、BW-1(そのほかは後述)という接尾辞で指定されるようになった。テリアの次のヴァージョンはBT-3(Beam-riding, Tail-controlled, series 3。series 2はモーターの改良のために予約されていたが、作られなかった)であった。このミサイルは機体が新しくなり、主翼が固定ストレーキに置き換えられ、制御面が尾部に移された。尾部制御はミサイルの敏捷性を著しく向上させた。BT-3はまた、改良された自動操縦装置と新しい推進システム(新しいサステナーと追加の補助固体燃料発電システム)を備え、より高速で射程距離の長いものとなった。1954年に最初のテストが成功し、1956年に運用が開始された。この改良により、BT-3は超音速の目標に対して有効なものとなった。テリアBT-3Aと呼ばれる改良型は、補助動力システムの燃焼時間が長いチャージと、末端燃焼式のサステナーを備え、ミサイルの射程を37,040mに倍増させた。BT-3Aはまた、地対地(対艦)モードで効果的に使用できる最初のテリアであった。BT-3A(N)は核武装したBT-3A(テリア唯一の核武装ヴァージョン)で、1kTのW-45-0弾頭を搭載していた。次の開発ステップは、ビームライド誘導をセミアクティヴ・レーダー・ホーミングに変更することであった。テリアHT-3はRIM-24ターター・ミサイルの多くの部品を使用しており、それ自体は基本的にブースターなしの短距離テリアであった。1957年、テリア用のレーダー・ホーミング・システムは、XHW-1と名付けられた翼制御の改造ミサイルでテストされた。量産型HT-3はCバンド・レーダー・シーカー C-band radar seekerを使用した。SARH誘導は低空飛行の標的に対するミサイルの有効性を大幅に向上させた。1963年、テリアの全種類は以下のようにRIM-2シリーズに改称された。SAM-N-7 BW-0→RIM-2A。SAM-N-7 BW-1→RIM-2B。SAM-N-7 BT-3→RIM-2C。SAM-N-7 BT-3A/-3A(N)→RIM-2D。SAM-N-7 HT-3→RIM-2E。これからわかるように、旧SAM-N-7シリーズの呼称には、ヴァリエーションを示すサフィックス文字が使われていない。最後のテリアは、RIM-2Eを改良したRIM-2Fである。RIM-2FはRIM-2Eの改良型で、サステイン・モーターと電源が新しくなり、射程が74,080mとふたたび2倍になった。RIM-2FはHTR-3(Homing Terrier, Retrofit)とも呼ばれた。さらに、固体電子回路、改良型ECCM、多目標能力、対艦能力の向上などの改良が加えられた。多くのRIM-2EミサイルがRIM-2Fの標準に引き上げられた。RIM-2テリアは約8,000発が製造されたのち、1966年に製造が終了した。RIM-2Fは徐々にRIM-67スタンダードERミサイルに取って代わられ、1980年代末に最後のテリアが退役した
Terrier Missile On USS Mississippi EAG-128. VanGardner.
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
8.25m
(RIM-2B)
1.02m
(RIM-2B)
480.80kg
(RIM-2B)
2段式固体ロケット ビームライディング+SARH 12.19km
(RIM-2B)
◎1956年運用


※レイセオン社(現レイセオン・テクノロジーズ社)製
※1967年10月21日、イスラエル海軍駆逐艦Eliat(元イギリス海軍Z級駆逐艦Zealous R.39)の撃沈事件をきっかけにBPDMSとして急遽生産に移された。発射機はアスロックSUMのMk. 25 8連装発射機を流用、管制装置(イルミネーター)は手動だった
※ヴァリエーションはRIM-7E(1967年就役)、RIM-7F、RIM-7H(1973年から生産。Mk. 29 8連装発射機。改良型のIPDMS。管制装置はこのH型から自動。NSSMSブロックI)、RIM-7M/P(Mk. 29 8連装発射機の他、Mk. 41、Mk. 48 VLSからも発射可能。RIM-7Pの訓練弾はRTM-7P)、RIM-7R(ESSM。後にRIM-162。Mk. 41 VLSから発射)
↑Atlantic Ocean (Sept. 11, 2004) - A NATO Sea Sparrow missile is launched during a live fire Missile Exercise aboard the Nimitz-class aircraft carrier USS Harry S. Truman (CVN-75). Truman and embarked Carrier Air Wing Eight (CVW-8) are currently participating in carrier qualifications. U.S. Navy photo by Photographer's Mate 2nd Class Jason P. Taylor. (RELEASED)
↑Pacific Ocean (Oct. 31, 2004) - Fire Controlmen load a RIM-7 NATO Sea Sparrow missile during a launcher upload evaluation aboard the Nimitz-class aircraft carrier USS Abraham Lincoln (CVN-72). The RIM-7 Sea Sparrow is a medium-range, rapid-reaction, missile weapon system that provides the capability of destroying hostile aircraft, anti-ship missiles and surface missile platforms. Lincoln and embarked Carrier Air Wing Two (CVW-2) are currently deployed to the Western Pacific Ocean. U.S. Navy photo by Photographer's Mate Airman James R. McGury. (RELEASED)

↑ATLANTIC OCEAN (Oct. 8, 2015) - Sailors prepare to load a RIM-7P NATO Sea Sparrow surface-to-air missile into an Evolved Sea Sparrow Missile system aboard the amphibious assault ship USS Kearsarge (LHD-3). Kearsarge is deployed as part of the Kearsarge Amphibious Ready Group to the U.S. 5th and 6th Fleet area of operations as part of a regularly scheduled deployment. U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Tyler Preston. (Released)
USS Kearsarge Fires Seasparrow Missile. USNI News Video.
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
3.65m 0.20m 0.62m 1,351kg ハーキュリーズ製Mk. 58固体ロケット SARH 空力主翼 WAU-17/B榴弾39.00s 25.94km ◎1976年運用(M型)


※ベンディックス・パシフィック社(現ハネウェル社)製
※長距離艦対空ミサイル・タロスは、SAM-N-7/RIM-2テリアやRIM-24ターター・ミサイルを生み出したアメリカ海軍のバンブルビー・プログラムの最終成果である。バンブルビーは、ラムジェットを動力とする対空ミサイルを作ることを目標に1944年に開始された。初期の開発はジョン・ホプキンス大学 John Hopkins Universityの応用物理学研究所が行い、APLは1945年にコブラ・ラムジェット Cobra ramjet試験ヴィークルを飛ばし始め、やがて1948年に大型のPTV-N-4 BTV(バーナー試験ヴィークル Burner Test Vehicle)につながった。タロスには一次ビーム走行誘導装置が搭載されることになっており、1948年にはCTV-N-8 STV(超音速試験ヴィークル Supersonic Test Vehicle)で超音速ビーム走行が実証された。このテストは非常に有望で、STVは実際に独自の戦術ミサイルであるSAM-N-7/RIM-2テリア中距離SAMとして開発された。タロスの最終試験機はRTV-N-6 XPM(実験試作ミサイル)で、1951年にRTV-N-6a3として初飛行に成功した。その時までに、タロスは海軍によってSAM-N-6と命名された。最初の完全なタロス試作機(XSAM-N-6)は1952年10月に飛行し、その年の終わりにはRTV-N-6a4試験機によって最初の迎撃に成功した。ミサイルの性能は開発中に何度も引き上げられたため、タロスが本格的に運用されたのは当初の計画より10年近く遅れた1959年になってからであった。タロスの生産はベンディックス社が主契約者となった。最初に運用されたタロスはSAM-N-6bと命名された。SAM-N-6aという呼称の証拠は見つかっていないが、これはおそらく長い開発段階における何らかの暫定的な構成に割り当てられたものであろう。SAM-N-6bは、固体燃料ロケット・ブースターとベンディックス・ラムジェットを使用して持続的に飛行した。タロスはビームライディング beam-ridingによって目標に誘導され、ターミナル・ホーミング terminal homingにはセミアクティヴ・パルスレーダー誘導が使用された。タロスの特徴的な機首周りの小型アンテナは、SARHシステムの受信機であった。このアンテナを持たないタロス・ミサイルは、訓練弾か核武装ミサイルで、ターミナル・ホーミングは使用されなかった。SAM-N-6bは通常弾頭のHE弾を搭載していた。ビーム誘導によって、タロスは上空から敵機を攻撃することができたが、これは下からのSAMを想定して訓練されていたパイロットにとっては不愉快な驚きであった。SAM-N-6bWは、W-30核弾頭(収量2〜5kT)以外はSAM-N-6bと同一であった。核武装したミサイルにはターミナル・ホーミングは不要とされ、SAM-N-6bWの機体には小型のSARHアンテナが搭載されていない
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
6.40m
(RIM-8G)
2.79m
(RIM-8G)
1,542kg
(RIM-8G)
ラムジェット ビームライディング+SARH 24.38km
(RIM-8G)
◎1959年運用


※コンソリデーテッド・ヴァルティ・エアクラフト(コンヴェア)社(現レイセオン社傘下スタンダード・ミサイル社)製
※ターターは短・中距離艦対空ミサイルで、基本的にはSAM-N-7テリアHT-3からブースター・ステージ booster stageを除いたものである。テリアーのビーム誘導方式をセミアクティヴ・レーダー・ホーミング方式に置き換える研究は、1951年にはすでに始まっていた。SARH誘導は、低空飛行の目標に対して有効なミサイルとなる。また、小型の艦船に搭載するために、よりコンパクトなミサイル・システムを提供することも要求された。これらの目標は、新しいレーダー・ホーニング・シーカーを搭載した尾部制御のテリア・ミサイルを使用することで達成された。ターター・ミサイルの開発契約は、1955年にようやく結ばれた。興味深いことに、ターターはSAM-N-nの指定を受けず、ミサイルMk. 15としてのみ知られていた。1958年に最初の完全なターター試作ヴィークルが飛行し、長く困難な評価期間を経て、ターターは1962年に運用開始が宣言された。1963年、ターターの基本的なミサイルはRIM-24Aと指定された。RIM-24Aは、エアロジェット Aerojet社のMk. 1末端燃焼式二重推力固体燃料ロケット・モーターを搭載していた。高度15.24m〜15,240m、射程1.82km〜13.89kmで飛行する目標に対して有効であった。RIM-24B改良型ターター Improved Tartarは、新しいシーカー、機械的に走査するレーダーから電子的に走査するレーダー、より優れた殺傷力を持つ弾頭を備えていた。また、新しいロケット・モーターを採用し、最大高度を20,000mに、射程距離を30kmに伸ばした。RIM-24Bは1961年から1963年にかけて生産された。TRIP(Tartar Reliability Improvement Program)プログラムの下で多くのミサイルが改良され、RIM-24Cとされた。RIM-24Cは、固体電子回路、改良型ECCM、多目標能力などを備えている。RIM-24CはITR(Improved Tartar Retrofit)とも呼ばれた。わずかな重量軽減により、後期型のターターは最大射程を約32.41kmに伸ばした。全てのターター・ミサイルは有効射程約18.28kmの艦対地ミサイルとして使用可能であった。RIM-24ミサイルは、全てのヴァージョンで約2,400発が生産された。アメリカ海軍では、ターターはRIM-66スタンダードMRミサイルに置き換わった
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
4.72m
(RIM-24B)
0.60m
(RIM-24B)
594.20kg
(RIM-24B)
Mk. 27固体ロケット SARH 19.81km
(RIM-24B)
◎1962年運用


※ジェネラル・ダイナミックス・ポモナ社(現レイセオン社傘下スタンダード・ミサイル社)製
※SM-1MR(Standard Missile 1 Medium Range)。YRIM-66Aの飛行試験開始は1965年。RIM-66AはブロックI〜ブロックIV、RIM-66BはブロックV、RIM-66EはブロックVIがある。ブロックYのサブヴァリエーションにRIM-66E-1/3/7/8がある(E-3とE-8はSM-2と同じMk. 115弾頭)。ほかにブロックVIA(RIM-66E-5)とブロックVIB(RIM-66E-6)がある
※発射システムはMk. 13単装発射機、Mk. 11連装発射機、Mk. 26連装発射機
↑At sea aboard USS George Philip (FFG-12) Feb. 14, 2002 -- A RIM-66A Standard Missile 1 MR surface-to-air missile is launched from the ship's forward missile rail. during training exercises off the California coast. U.S. Navy photo by Photographer's Mate 2nd Class Kenneth Pace. (RELEASED)

PFG2-1108班超艦 標準一型飛彈(訓練彈)展示−20230325敦睦艦隊蘇澳港. Yu-Sheng Maurice Hung.
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
4.47m 0.34m 1.07m 562kg(A型)
630kg(B型)
エアロジェットMk. 27デュアルスラスト固体ロケット(A型)
エアロジェットMk. 56デュアルスラスト固体ロケット(B型)
INS+指令+SARH 空力フィン 62.14s榴弾Mk. 51(continuous-rod warhead)(A型)
榴弾Mk. 90(blast-fragmentation warhead)(B型)
2.74km〜31.50km(A型)
2.74km〜46.30km(B型)
19.81km(A型)
24.38km(B型)
◎ブロックIII 1967年運用
◎ブロックIV 1968年運用
◎ブロックVI 1983年運用


※ジェネラル・ダイナミックス・ポモナ社(現レイセオン社傘下スタンダード・ミサイル社)製
※SM-2MR(Standard Missile 2 Medium Range)。ブロックI(RIM-66C/D)とブロックII(RIM-66H/J)があり、ブロックIIはブロックIより全長が0.254mも長い。ブロックIIはブロックIに比べ、有効射程が約2.3倍伸びている。RIM-66D/Jはターター搭載艦のためのミサイル。
※発射システムはMk. 26連装発射機、Mk. 41 VLS(RIM-66H)
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
4.75m 0.34m 1.07m 621kg エアロジェットMk. 56デュアルスラスト固体ロケット(ブロックI)
Thiokol Mk. 104固体ロケット(ブロックII)
INS+指令+SARH 空力フィン 113.39s榴弾Mk. 115(blast-fragmentation warhead) 2.74km〜164.59km 24.38km(C型) ◎1978年運用(C型、1983年まで生産)
◎1983年運用(ブロックII)


※ジェネラル・ダイナミックス・ポモナ社(現レイセオン社傘下スタンダード・ミサイル社)製
※SM-1ER(Standard Missile 1 Extended Range)
※発射システムはMk. 10連装発射機
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
7.98m 0.34m
0.45m(ブースター)
1.07m
1.57m(ブースター)
1,342kg 固体ロケット INS+指令+SARH 空力フィン 榴弾113.39kg 6.40km〜73.15km 24.38km ◎1970年運用


※ヒューズ・ミサイル・システムズ社(現レイセオン・テクノロジーズ社)製
※1975年にF-14の搭載空対空ミサイル、AIM-54フェニックス(下の画像)を艦対空ミサイルとして使用する計画。1978年末に計画中止
↑AIM-54A "Phoenix" missile. DoD photo. Image courtesy of Designation-Systems.Net.


※ジェネラル・ダイナミックス・ポモナ社(現レイセオン社傘下スタンダード・ミサイル社)製
※SM-2ER(Standard Missile 2 Extended Range)。RIM-67BはSM-2ERブロックIと呼ばれる。ブロックII/III/IIIA/IIIBとある。推力偏向制御機能を有するユナイテッド・テクノロジー社製固体燃料ロケット・ブースターMk. 72を付加したRIM-67BはSM-2ERブロックIVとしてイージス艦で運用される大気圏内対処の弾道ミサイル防衛用と位置づけられていてRIM-156Aとも呼ばれる(米海軍は当初、RIM-66とRIM-67に続くブロックIVミサイルにRIM-68Aという呼称を要求していた。しかし、1960年代の米空軍プロジェクトのAIM-68という名称はとっくにキャンセルされていたものの、古い設計番号を再利用することは規則上認められていない。そのため、この要求は却下され、代わりにRIM-156Aという呼称が割り当てられた。SM-2ERブロックIVがRIM-67Eと指定されていることを示す資料もあるようだが、これは正しくない。せいぜい、RIM-67Eは最終的なRIM-156Aの命名法が割り当てられる前の一時的な暫定命名であった)。RIM-156B SM-2ERブロックIVAは、海軍地域弾道ミサイル防衛(Navy Area Theater Ballistic Missile Defense: NATBMD)システム(下層弾道ミサイル防衛 lower-tier ballistic missile defense)のミサイル構成要素となるよう計画されたが、ブロックIVの全ての対空戦能力も保持していた。デュアルモード無線周波数、画像赤外線(Radio Frequency, Imaging Infrared: RF/IIR)シーカーを搭載し、アップグレードされたMK 125弾頭パッケージを持ち、対TBM任務のために強化された自動操縦を備えていた。RIM-156Bは、TBM追跡能力を追加した改良型イージス兵器システム modified AEGIS weapons systemとともに使用される予定であった。飛行試験は1994年に開始され、1997年1月には弾道ミサイル(MGM-52ランス・ターゲット)がブロックIV Aミサイルによって初めて撃墜された。RIM-156Bの技術・製造開発(Engineering and Manufacturing Development: EMD)段階は2001年12月まで続き、NATBMD計画全体がキャンセルされた。当初の計画では、初期運用能力(Initial Operational Capability: IOC)は2003年とされていた
※発射システムはMk. 41 VLS
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
7.98m 0.34m
0.45m(ブースター)
1.07m
1.57m
(ブースター)
1,342kg 固体ロケット INS+指令+SARH 空力フィン 榴弾113.39kg 6.40km〜182.88km 24.38km ◎1981年運用
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
6.55m
(ブースター)
0.34m
0.53m(ブースター)
1.56m
(ブースター)
1,451.49kg 固体ロケット INS+指令+SARH 空力フィン 榴弾113.39kg 240.76km 33.52km ◎RIM-156A
◎弾頭はMk. 125爆破破砕


※ジェネラル・ダイナミックス社(現レイセオン社傘下スタンダード・ミサイル社)製
※アメリカとドイツが共同開発
※発射システムは21連装発射機Mk. 49。ヴァリエーションはブロック0(RIM-116A)、RIM-116Bブロック1(1993年に開発開始、2000年に生産開始)、ブロック1A、RIM-116Cブロック2(開発中)
↑ATLANTIC OCEAN (Oct. 22, 2013) - The multipurpose amphibious assault ship USS Bataan (LHD-5) fires a RIM-116 Rolling Airframe Missile (RAM). The RAM provides ships with self-defense against anti-ship missiles and asymmetric air and surface threats. Bataan and the 22nd Marine Expeditionary Unit (22nd MEU) are underway conducting routine qualifications. U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Erik Foster. (Released)
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
2.79m 0.12m 0.43m 73.5kg 固体ロケット PRH+IRH 空力カナード 榴弾11.33kg 9.26km ◎1992年運用


※レイセオン社(現レイセオン・テクノロジーズ社)製
RIM-156A SM-2ER(Standard Missile 2 Extended Range)ブロックIVがベースとなっている。3段のロケットで加速上昇、4段目で軽量大気圏外投射体(LEAP)という運動エネルギーで目標破壊。ブロックI(RIM-161A)/IA(RIM-161B)/IB(RIM-161C)/IIA(RIM-161D)/IIBへと発展していく
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
6.55m 0.53m
(1段目)
0.35m
(2、3段目、ブロックI)
0.53m
(2、3段目、ブロックII)
1.57m 1,500kg 固体ロケット INS+GPS+SARH+IRH 空力カナード+推力偏向
(LEAP)
軽量大気圏外投射体
(LEAP)
約700km
(ブロックI)
約2,500km
(ブロックII)
約500km
(ブロックI)
約1,500km
(ブロックII)
◎1999年運用


※レイセオン社(現レイセオン・テクノロジーズ社)製
RIM-7シリーズにはない艦上からのアップリンクによる中間期管制誘導のアップデート機能のほか、遅延照射、間欠照射、全期間誘導など目標や作戦状況に応じて選択できる新しい作動モードを導入
※発射システムはMk. 29旋回俯仰型8連装発射機、Mk. 41 VLS、Mk. 48 VLS。Mk. 41 VLSでは4発を1パックにまとめて1セルに装填、1発ずつ発射できる

↑PACIFIC OCEAN (Aug. 24, 2014) - Sailors assigned to the combat systems department use a grove crane to lift an Evolved Sea Sparrow Missile (ESSM) during an ordnance handling evolution aboard the aircraft carrier USS Carl Vinson (CVN-70). Carl Vinson is underway off the coast of Southern California conducting carrier qualifications as part of a deployment to the western Pacific region. U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Giovanni Squadrito. (Released)

↑Image courtesy of Shipbucket.
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
3.66m 0.203m
(前部)
0.254m
(後部)
280kg 固体ロケット INS+DL+SARH 空力カナード+TVC 爆風破片型弾頭39kg 30km〜50km ◎2004年運用


※レイセオン社(現レイセオン・テクノロジーズ社)製
※米海軍のRIM-156B/SM-2ブロックIVA戦域弾道ミサイル防衛(Theater Ballistic Missile Defense: TBMD)ミサイルは、2001年12月にキャンセルされた。RIM-156Bは二次的な対空戦(Anti-Air Warfare: AAW)能力を持つ予定であったため、これは海軍の将来の長距離防空資産に潜在的なギャップを残した。そこで、SM-2ブロックIVAに代わる可能性のあるミサイルを研究するExtended Range AAW Missile: ERAMプログラムが開始された。その結果、RIM-156A/SM-2ブロックIVミサイルに、AIM-120C-7 AMRAAM空対空ミサイルのアクティヴ・レーダー・シーカーを端末誘導用に追加した、実質的にRIM-156A/SM-2ブロックIVミサイルであるスタンダード・ミサイル6(SM-6)が誕生した。このシーカーのため、ERAMという略称はそののち、Extended Range Active Missileという意味に再定義された。2008年2月、ERAMは正式にRIM-174Aに指定された。2004年9月、レイセオンはSM-6の7年間のシステム開発・実証(System Development & Demonstration: SDD)フェーズの開発契約を獲得した。2005年半ばの時点で、最初のERAM飛行試験は2007年後半に計画され、2009年に低予算初期生産(Low-Rate Initial Production: LRIP)が開始され、2010年までに初期運用能力(Initial Operational Capability: IOC)が達成された。2008年6月、RIM-174Aミサイルによる無人機の迎撃が初めて成功した。2009年9月、レイセオンはSM-6ミサイルの最初のLRIP契約を獲得した。SM-6の性能エンヴェロープに関する具体的なデータは公表されていないが、機体と推進システムはRIM-156Aと同じであるため、仕様は非常に類似していると推定される。レイセオンはまた、SM-6は海上ベースの終末弾道ミサイル防衛システムとして機能することができると主張している

↑AIM-120アムラーム(AMRAAM)

↑PACIFIC OCEAN (Oct. 24, 2023) - The littoral combat ship USS Savannah (LCS-28) launches an SM-6 missile from a containerized launching system at a designated target during a live-fire demonstration in the eastern Pacific Ocean, Oct. 24, 2023. The exercise demonstrated the modularity and lethality of Littoral Combat Ships and the ability to successfully integrate a containerized weapons system to engage a surface target. The exercise will inform continued testing, evaluation and integration of containerized weapons systems on afloat platforms. (U.S. Navy photo)

Slow Motion Missile Launch from USS John Paul Jones. USNI News Video.
全長 直径 翼幅 発射
重量
推進 誘導 制御 弾頭 射程 有効
射高
備考
6.55m
(ブースター)
0.34m
0.53m(ブースター)
1.56m
(ブースター)
1,496.85kg 固体ロケット INS+指令+SARH 空力フィン 榴弾113.39kg 240.76km 33.52km ◎弾頭はMk. 125爆破破砕


Update 24/07/12