国防工場公社
- ※国防工場公社(Defense Plant Corporation: DPC)は、連邦政府の機関であり、アメリカ政府の復興金融公社(Reconstruction Finance Corporation: RFC)の子会社で、幾つかの大規模産業の支配的地位を連邦政府が獲得する事になった。1940年8月22日にアメリカ連邦議会は、敵対戦争を想定して国防工場公社(DPC)を設立し、軍需産業の生産能力を拡大する事を命じた。1932年にアメリカ議会は、大恐慌の際に融資によって経済活動を促進する事を目的とした独立政府機関として、RFCを設立した。RFCは、融資と回収、証券の売買を行う。当初は、金融機関、産業機関、農業機関に限定して融資を行っていたが、法改正により、その業務範囲は大幅に拡大された。この改正により、外国政府への融資、戦争や災害の被害に対する保障、軍需工場の建設や運営への融資が可能になった。RFCの支出の約3分の2、$20,000,000,000は、特に第二次大戦中、アメリカの国防の為に使われた。RFCは、第二次大戦中のアメリカの産業拡大の大部分に資金を提供した。陸軍省、海軍省 War and Navy Departments、生産管理局 Office of Production Management、戦争生産委員会 War Production Board、海事委員会 Maritime Commission等の様々な政府部門がRFCに必要なものを要求し、DPCが工場(新工場を中心とした)の建設、設備、運営を保証する仕組みであった。ジェシー H. ジョーンズ Jesse H. Jonesは、エミール・シュラム Emil Schram、サム・ハスバンズ Sam Husbandsと共にDPCを運営。1940年の設立から1945年まで、DPCは46州及び海外の2,300のプロジェクトに$9,000,000,000以上を支出した。その結果、航空機製造、非鉄金属、工作機械、合成ゴム、海運等の産業で、政府は圧倒的な地位を獲得した。戦争中に生産された材料や物資は、ベアリングから巨大な大砲、戦車、船、飛行機まで多岐にわたった。資金の支出の約半分は、直接又は間接的に航空の為に使われた。DPCの最大プロジェクトの1つは、B-29とB-32の航空機用エンジンを製造する$176,000,000のダッジシカゴ工場 Dodge-Chicago plantであった。19棟の平屋建てで、敷地面積は1,545エーカー(約3万坪)に及んだ。鉄の鍛造所とアルミの鋳造所を持ち、片方で原料を受け入れ、もう片方でエンジンの完成品を作る事が出来るほど大規模な工場であった。1945年7月1日に議会はDPCを解散した。589隻(86フィート型曳船100隻、180フィート型曳船21隻、艀467隻)が第二次大戦中、国防工場公社用に34ヶ所の造船所で建造されたものである。その殆どは竣工が遅すぎた為、DPCにはあまり役に立たず、他の機関に譲渡されたり、売却されたりしている
- 総トン数:146t 全長:26.21m
- ※曳船(Tug)
船名 | NAME | 造船所 記号 |
オフィシャル ・ナンバー |
DCP 記号 |
建造所 | 引き渡された日 | 備考 |
― | ― | 1289 | DPC-1 | Lawley & Son | 1943/6 | ◎後に海軍に移管、艦種を港内曳船(YT-471)に改める ◎1944 艦種を中型港内曳船(YTM-471)に改める ![]() |
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― | ― | 544 | DPC-59 | Bushey & Sons | 1945 | ◎後に陸軍に移管、艦種を港内曳船(ST-781)に改める ◎1951 ギリシャの業者に売却されSiriusと命名 ◎1968 ユーゴスラヴィアの業者に売却されRegulusと改名 ◎2001 解体 |
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― | ― | 244510 | DPC-72 | Decatur Iron & Steel | 1944 | ◎後にWar Shipping Administrationに移管、船種記号をWSA-19に改める ◎1946 民間に売却されLos Angelesと改名 ◎後にSea Shepherdと改名 |
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― | ― | 3157 | 244615 | DPC-90 | コンソリデーテッド・シップビルディング社 | 1944 | ◎1943/11 竣工 ◎後に海軍に移管され艦種を中型港内曳船(YTM-474)に改める |
― | ― | 923 | DPC-100 | アメリカン・シップビルディング社バッファロー造船所 | ◎1943/11 建造 ◎後に陸軍に移管、艦種を港内曳船(ST-768)に改める ◎1948 デンマークの業者に売却されKronosと命名 ◎1964 イギリスの業者に売却されWhitburnと改名 ◎1978 エジプトの業者に売却されAbou Shanabと改名 ◎2005 解体 |
- 全長:54.86m
- ※曳船(Towboat)
船名 | NAME | 造船所 記号 |
オフィシャル ・ナンバー |
DCP 記号 |
建造所 | 引き渡された日 | 備考 |
コレヒドール | Corregidor | DPC-601 | JeffBoat | ◎1944 建造 ◎後に陸軍に移管 |
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ジャワ・シー | Java Sea | DPC-602 | JeffBoat | ◎1944 建造 ◎後に陸軍に移管 |
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ウェーク・アイランド | Wake Island | DPC-603 | JeffBoat | ◎1944 建造 ◎後に陸軍に移管 |
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アッツ | Attu | DPC-604 | JeffBoat | ◎1944 建造 ◎後に陸軍に移管 |
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ガダルカナル | Guadalcanal | DPC-605 | JeffBoat | ◎1944 建造 ◎後に陸軍に移管 |
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ツラギ | Tulagi | DPC-606 | JeffBoat | ◎1944 建造 ◎後に陸軍に移管 |
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バターン | Bataan | 8 | DPC-607 | Cargill | ◎1944 建造 | ||
コーラル・シー | Coral Sea | 9 | DPC-608 | Cargill | ◎1944 建造 | ||
ミルン・ベイ | Milne Bay | 10 | DPC-609 | Cargill | ◎1944 建造 | ||
ボア・ラーダ | Bou Arada | 11 | DPC-610 | Cargill | ◎1944 建造 | ||
テナル・リヴァー | Tenaru River | 12 | DPC-611 | Cargill | ◎1944 建造 | ||
ミッドウェー・アイランズ | Midway Islands | DPC-612 | マウント・ヴァーノン・ブリッジ | ◎1944 建造 | |||
ルンガ・ポイント | Lunga Point | DPC-613 | マウント・ヴァーノン・ブリッジ | ◎1944 建造 | |||
ココダ | Kokoda | DPC-614 | セント・ルイス・シップ | ◎1944 建造 | |||
スマ | Suma | DPC-615 | セント・ルイス・シップ | ◎1944 建造 | |||
カサブランカ | Casablanca | DPC-616 | セント・ルイス・シップ | ◎1944 建造 | |||
チュニス | Tunis | DPC-617 | セント・ルイス・シップ | ◎1944 建造 | |||
コナ | Cona | DPC-618 | セント・ルイス・シップ | ◎1944 建造 | |||
マトール | Mateur | DPC-619 | セント・ルイス・シップ | ◎1944 建造 ◎後にPeoriaにて水上レストランとなる |
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グアム | Guam | 505 | 244669 | DPC-620 | Marietta Mfg. | ◎1944 建造 | |
キスカ | Kiska | 506 | 244671 | DPC-621 | Marietta Mfg. | ◎1944 建造 |
Update 21/12/15